The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 4, 2001 Vol. 344 No. 1

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

減塩食と高血圧症予防食事療法(DASH)の血圧に対する効果
Effects on Blood Pressure of Reduced Dietary Sodium and the Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) Diet

F.M. SACKS AND OTHERS

背景

食事の成分が血圧に及ぼす影響は公衆衛生の重要な課題である.われわれは,高血圧症の人々と高血圧症ではない人々において,食事で摂取される塩分量のさまざまなレベルの影響について,野菜,果物,および低脂肪乳製品に富んだ高血圧症予防食事療法(DASH:Dietary Approaches to Stop Hypertension)の食事とともに検討した.

方 法

合計で 412 例の参加者を,対照食として米国の典型的な食事と DASH 食のいずれかに無作為に割り付けた.参加者には,割り付けられた食事のなかで,塩分を高量にした食事,中量にした食事,低量にした食事を,無作為な順番で 30 日間ずつ摂取させた.

結 果

塩分摂取のレベルを高量から中量に減量することで,収縮期血圧は,対照食では 2.1 mmHg(p<0.001),DASH 食では 1.3 mmHg(p = 0.03)下降した.塩分摂取レベルを中量から低量に減量すると,収縮期血圧は,対照食ではさらに 4.6 mmHg(p<0.001),DASH 食ではさらに 1.7 mmHg(p<0.01)下降した.この減塩効果は,高血圧症の参加者にも高血圧症でない参加者にも観察され,黒人にも他の人種にも,女性にも男性にも認められた.DASH 食は,どの塩分摂取レベルでも,収縮期血圧が対照食よりも有意に低いことと関連したが,その差は,塩分摂取レベルが高量の場合のほうが,低量の場合よりも大きかった.塩分摂取レベルが低量の DASH 食は,塩分摂取レベルが高量の対照食と比較して,平均収縮期血圧を,高血圧症ではない参加者では 7.1 mmHg,高血圧症の参加者では 11.5 mmHg 下降させた.

結 論

塩分摂取量を現在推奨されている 100 mmol/日よりも低いレベルにまで減らすことと DASH 食は,いずれも血圧を大きく下降させる.そしてこの 2 つは,単独よりも組み合わせるほうが効果は大きい.健康に対する長期的な利益は,人々が食事を変更したまま継続できるかどうかと,減塩食品が入手しやすくなっていくかどうかにかかっていると思われる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 3 - 10. )