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March 1, 2001 Vol. 344 No. 9

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深部静脈血栓症の患者における血栓の退縮と血栓塞栓症の再発に対する低分子ヘパリンの効果
Effects of a Low-Molecular-Weight Heparin on Thrombus Regression and Recurrent Thromboembolism in Patients with Deep-Vein Thrombosis

H.K. BREDDIN, V. HACH-WUNDERLE, R. NAKOV, AND V.V. KAKKAR

背景

低分子ヘパリンは,静脈血栓塞栓症の治療に汎用されているが,至適投与レジメンと臨床転帰のより詳細な定義が求められている.

方 法

今回の多施設共同の非盲検試験では,エンドポイントの判定は盲検で行った.急性の深部静脈血栓症の患者を次の三つの治療レジメンの一つに無作為に割付けた: 未分画ヘパリンの静脈内投与; 低分子ヘパリンであるレビパリン(Reviparin)の 1 日 2 回 1 週間の皮下投与;レビパリンの 1 日 1 回 4 週間の皮下投与.主要エンドポイントは,試験 21 日目の静脈造影法によって確認された血栓の退縮とした; 副次的エンドポイントは,静脈血栓塞栓症の再発,試験組み入れから 90 日目までの大出血,および死亡であった.

結 果

血栓の退縮は,未分画ヘパリンの投与を受けた患者では 40.2%(321 例中の 129 例)に認められたのに対して,レビパリンの 1 日 2 回投与を受けた患者では 53.4%(328 例中の 175 例),レビパリンの 1 日 1 回投与を受けた患者では 53.5%(312 例中の 167 例)であった.したがって,血栓の退縮に関しては,レビパリンの 1 日 2 回投与(血栓退縮の相対尤度,1.28; 97.5%信頼区間,1.08~1.52)が,レビパリンの 1 日 1 回投与(相対確率,1.29; 97.5%信頼区間,1.08~1.53)と同様に,未分画ヘパリンよりも有意に有効であった.死亡率と大出血のエピソードの頻度は 3 群間で同程度であった.

結 論

急性の深部静脈血栓症に対しては,レビパリンの治療レジメンが,血栓の大きさの縮小に関して未分画ヘパリンよりも有効である.またレビパリンは,血栓塞栓症の再発予防においても未分画ヘパリンよりも有効で,安全性は同等である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 626 - 31. )