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March 15, 2001 Vol. 344 No. 11

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HIV 疾患に対する併用抗レトロウイルス療法の費用効果
The Cost Effectiveness of Combination Antiretroviral Therapy for HIV Disease

K.A. FREEDBERG AND OTHERS

背景

3 剤またはそれ以上の薬剤を併用して実施する併用抗レトロウイルス療法は,米国では,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の患者に対する医療の標準になってきている.われわれは,このような抗レトロウイルス薬の 3 剤レジメンの臨床有益性と費用効果の推定を行った.

方 法

CD4 細胞数および HIV の RNA 量を疾患の進行の予測因子として使用する HIV 疾患の数学シミュレーションモデルを開発した.転帰の評価尺度には,平均余命,QOL で補正した平均余命,一生涯の直接医療費,およびドル換算で求めた QOL で補正した治療によって得られる生存期間の 1 年当りの費用効果などを設定した.臨床データは,AIDS 臨床試験グループ 320 試験(AIDS Clinical Trials Group 320 Study)を含む主要な臨床試験から入手した.医療費に関するデータは,赤本(Red Book)に掲載されている薬剤価格と,全米で行われている AIDS における医療費と医療サービスの利用に関する調査(AIDS Cost and Services Utilization Survey)に基づいて求めた.

結 果

AIDS 臨床試験グループ 320 試験の患者と類似した患者(平均 CD4 細胞数,87/mm3)においては,治療をまったく行わない場合と比較すると,3 剤薬物療法では,QOL で補正した平均余命が 1.53 年間から 2.91 年間に延長し,患者 1 人当りの一生涯の医療費は $ 45,460 から $ 77,300 に増加していた.QOL で補正した治療によって得られる生存期間の 1 年当りの医療費の増加額は,治療をまったく行わない場合との比較では $ 23,000 であった.この試験以外の主要な試験から得られた補助的なデータを基にすると,3 剤薬物療法の費用効率は,QOL で補正した治療によって得られる生存期間の 1 年当りでは,$ 13,000~$ 23,000 であった.医療費,臨床有益性,費用対効果のもっとも重要な決定因子は,治療前 CD4 細胞数と薬剤価格であった.

結 論

HIV 感染症に対する抗レトロウイルス薬 3 剤併用療法は,費用対効果の高い資源利用である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 824 - 31. )