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October 18, 2001 Vol. 345 No. 16

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鶏肉およびヒトの糞便検体におけるキヌプリスチン-ダルフォプリスチン耐性 Enterococcus faecium
Quinupristin-Dalfopristin–Resistant Enterococcus faecium on Chicken and in Human Stool Specimens

L.C. MCDONALD AND OTHERS

背景

米国では 1999 年の終りに,バンコマイシン耐性 Enterococcus faecium 感染症の治療薬として,ストレプトグラミンであるキヌプリスチン(quinupristin)とダルフォプリスチン(dalfopristin)の合剤が承認された.1974 年以来,ニワトリを含む農場飼育動物の成長を促すために,別のストレプトグラミンであるバージニアマイシン(virginiamycin)が,治療用量以下の濃度で使用されてきた.

方 法

キヌプリスチン-ダルフォプリスチン耐性 E. faecium の頻度を調べるために,ジョージア州,メリーランド州,ミネソタ州,オレゴン州のスーパーマーケットで購入した鶏肉の検体,および外来患者から採取した糞便の検体を,選択培地を用いて培養した.

結 果

1998 年 7 月~1999 年 6 月の期間に,4 州の 26 店舗から購入した 407 個の鶏肉の検体を,外来患者から採取した糞便の 334 件の検体と同じように培養した.キヌプリスチン-ダルフォプリスチン耐性 E. faecium は,237 件の鶏肉検体と 3 件の糞便検体から分離された.糞便から分離された耐性株は,耐性レベルが低かった(最小発育阻止濃度 [MIC],4 μg/mL;耐性は MIC≧4 μg/mL と定義されていた).鶏肉から分離された耐性株は一般に高度耐性化していた(MIC の範囲が 4~2 μg/mL;分離株の 50%において発育を阻止するのに必要な MIC,8 μg/mL).

結 論

米国のスーパーマーケットで販売されている鶏肉の大部分が,キヌプリスチン-ダルフォプリスチン耐性 E. faecium に汚染されている.しかしながら,ヒトの糞便検体において,これらの菌株の保菌率および耐性レベルが低かったことは,動物におけるバージニアマイシンの使用による実質的な影響がまだ現れていないことを示唆している.とはいうものの,キヌプリスチン-ダルフォプリスチンの臨床使用が増加するにつれて,耐性菌の食品に由来する播種が増大するかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1155 - 60. )