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October 18, 2001 Vol. 345 No. 16

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鶏肉および豚肉から分離された抗菌薬耐性 Enterococcus faecium 摂取後の一時的な腸内保菌
Transient Intestinal Carriage after Ingestion of Antibiotic-Resistant Enterococcus faecium from Chicken and Pork

T.L. SORENSEN AND OTHERS

背景

抗菌薬耐性腸球菌は,しばしば小売り食肉に存在しているが,これらの汚染細菌の摂取によって持続的な腸内保菌にいたるのかどうかは,明らかにされていない.

方 法

18 例の健常志願者を対象として,無作為二重盲検試験を実施した.このうちの 6 例に,食料品店で購入した鶏肉から分離された Enterococcus faecium のグリコペプチド耐性株の 2 株混合を 107 コロニー形成単位(CFU)摂取させ,6 例に屠殺場でブタから分離されたE. faecium のストレプトグラミン耐性株を 107 CFU,6 例に食料品店で購入した鶏肉から分離された E. faecium のグリコペプチド感受性かつストレプトグラミン感受性の菌株を 107 CFU,摂取させた.腸球菌の懸濁液は,250 mL の全乳で調製し,デンマーク食品規制法によって許容量とみなされている範囲内に十分に収まるものであった.糞便検体の採取は,懸濁液の摂取前,摂取後 1 週間は毎日,その後 14 日目および 35 日目に行った.糞便内の耐性腸球菌の同定は,選択培養法によって行った;さらに,それらの細菌の分子学的な特徴付けも行った.

結 果

当初は,どの被験者にも,グリコペプチド耐性あるいはストレプトグラミン耐性 E. faecium によるコロニー形成は認められなかった.試験菌株の摂取後,それらと同一の菌株が,さまざまな濃度で,すべての被験者の糞便から分離された.6 日目には 12 例の被験者のうちの 8 例,14 日目には 12 例中の 1 例の糞便内から,試験菌株が分離された.35 日目には,すべての糞便検体が陰性であった.

結 論

動物由来の耐性 E. faecium を摂取すると,その耐性株は,摂取後 14 日目まで,糞便内で検出可能な濃度に達している.この細菌は,胃を通過したあとも増殖する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1161 - 6. )