November 1, 2001 Vol. 345 No. 18
心血管系疾患のリスクに対する正常高値血圧の影響
Impact of High-Normal Blood Pressure on the Risk of Cardiovascular Disease
R.S. VASAN AND OTHERS
正常高値血圧(収縮期血圧 130~139 mmHg,拡張期血圧 85~89 mmHg,またはこの両方)の人々における心血管系疾患のリスクに関する情報は乏しい.
フラミンガム心臓研究(the Framingham Heart Study)の参加者で,研究開始時には高血圧症および心血管系疾患に罹患していなかった 6,859 例において,開始時の血圧区分と追跡調査時における心血管系疾患の発生率との関連について検討した.
開始時の血圧区分がより高かった人々において,心血管系イベント率の段階的な上昇が認められた.正常高値血圧であった 35~64 歳の被験者における心血管系疾患の 10 年累積発生率は,女性が 4%(95%信頼区間,2~5%),男性が 8%(95%信頼区間,6~10%)であった;高齢被験者(65~90 歳)では,この発生率は,女性が 18%(95%信頼区間,12~23%),男性が 25%(95%信頼区間,17~34%)であった.最適血圧との比較では,正常高値血圧は,危険因子で補正した心血管系疾患のハザード比が,女性で 2.5(95%信頼区間,1.6~4.1),男性で 1.6(95%信頼区間,1.1~2.2)であることと関連があった.
正常高値血圧は,心血管系疾患のリスクの増加に関連している.ここで得られた結果は,正常高値血圧を下降させることによって,心血管系疾患のリスクを減少させられるかどうかを確かめる必要があることを強調するものである.