November 8, 2001 Vol. 345 No. 19
追加照射の併用または非併用の標準放射線療法による乳癌治療後の再発率
Recurrence Rates after Treatment of Breast Cancer with Standard Radiotherapy with or without Additional Radiation
H. BARTELINK AND OTHERS
放射線療法は,乳房温存術後の乳癌の局所再発を予防する.われわれは,早期乳癌に対する乳房温存術後に,放射線療法を受けた患者において,腫瘍床への補助的照射が局所再発率に与える影響について評価した.
病期が I 期または II 期の乳癌の患者に対して,乳腺腫瘍摘出術および腋窩郭清後に,50 Gy の放射線を 2 Gy ずつの分画に分け,5 週間かけて乳房全体に照射した.顕微鏡検査によって完全切除が確認された患者を,それ以上の局所治療の非実施(2,657 例),または通常は体外電子線によって 8 分画に分けて実施される 16 Gy の追加局所照射(2,661 例)のいずれかに,無作為に割付けた.
中央値で 5.1 年間の追跡期間中に,局所再発は,標準治療群 2,657 例の患者では 182 例に,追加照射群 2,661 例の患者では 109 例に観察された.生命表法による 5 年局所再発率は,それぞれ 7.3%(95%信頼区間,6.8~7.6%)および 4.3%(95%信頼区間,3.8~4.7%)であり(p<0.001),追加照射に関連した局所再発のハザード比は 0.59(99%信頼区間,0.43~0.81)と求められた.40 歳以下の患者がもっとも大きな利益を受けていた;5 年目の時点において,これらの患者の局所再発率は,標準治療では 19.5%,追加照射では 10.2%であった(ハザード比,0.46 [99%信頼区間,0.23~0.89];p=0.002).41~50 歳までの年齢群では,5 年目の時点において,転移率あるいは全生存率に差は認められなかった(それぞれ,87%および 91%).
乳房温存術の手術を受け,乳房全体に 50 Gy の放射線照射を受ける早期乳癌の患者において,腫瘍床への 16 Gy の追加照射は,局所再発のリスクを,とくに 50 歳未満の患者において低下させる.