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July 5, 2001 Vol. 345 No. 1

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神経細胞のカルシウムチャネルの突然変異に関連した家族性片麻痺性片頭痛の臨床スペクトラム
The Clinical Spectrum of Familial Hemiplegic Migraine Associated with Mutations in a Neuronal Calcium Channel

A. DUCROS AND OTHERS

背景

家族性片麻痺性片頭痛は,一過性の片麻痺に片頭痛が続発する発作が特徴の常染色体優性遺伝病で,純型の家族性片麻痺性片頭痛(家族の約 80%に発症)と,持続性小脳徴候を伴った家族性片麻痺性片頭痛(家族の約 20%に発症)に分けられる.また,小脳徴候を伴った片麻痺性片頭痛の家族もすべて含めた片麻痺性片頭痛の家族の 50%に,神経細胞のカルシウムチャネルの一つをコードしている CACNA1A に突然変異が存在していることが認められている.われわれは,小脳徴候を伴った片麻痺性片頭痛と伴わない片麻痺性片頭痛を発症していた 28 家族を対象として,CACNA1A の突然変異に関連して発現する多様な臨床症状について検討した.

方 法

CACNA1A の分析を行った結果,9 種類の突然変異が,小脳徴候を伴った片麻痺性片頭痛の家族の発端者 16 例中 15 例と,小脳徴候を伴った散発性の片麻押性片頭痛の被験者 3 例中の 2 例,純型片麻痺性片頭痛の家族の発端者 12 例中の 4 例に検出された.発端者とその血縁者の遣伝子型を決定することによって,突然変異を保因している被験者を合計で 117 例同定することができたので,これらの被験者を対象に発現した臨床症状を詳細に評価した.

結 果

突然変異を保困していた被験者の 89%が,片麻痺性片頭痛の発作に襲われた経験を有していた.さらに,その 1/3 が,完全に回復したものの,昏睡,持続の長い片麻痺,またはその両方を伴った重症の発作に襲われていた.新たに同定された 5 種類の突然変異を含む 9 種類の突然変異のすべてが,ミスセンス突然変異であった.6 種類の突然変異が小脳徴候を伴った片麻痺性片頭痛に関連しており,この 6 種類の突然変異を保因していた被験者の 83%が,眼振,運動失調,あるいはその両方の症状を経験していた.3 種類の突然変異が純型片麻痺性片頭痛に関連していた.

結 論

CACNA1A に突然変異を保因している被験者の片麻痺性片頭痛は,広範な臨床スペクトラムを有している.このように多彩な臨床症状は,部分的には,この遺伝子に多種類の突然変異が存在していることと関連がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 17 - 24. )