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December 13, 2001 Vol. 345 No. 24

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髄膜炎の疑いのある成人における腰椎穿刺前の頭部コンピュータ断層撮影
Computed Tomography of the Head before Lumbar Puncture in Adults with Suspected Meningitis

R. HASBUN, J. ABRAHAMS, J. JEKEL, AND V.J. QUAGLIARELLO

背景

髄膜炎が疑われた成人に対し,臨床医は,腰椎穿刺を行う前に,頭部のコンピュータ断層撮影(CT)を日常的に指示している.

方 法

われわれは,CT で異常所見が認められそうにない患者を識別するために,頭部の CT 検査を実施する前にみられた臨床特徴を使用できるか否かを調べるために,髄膜炎が疑われた 301 例の成人を対象に前向きの検討を行った.神経学的異常の同定には,米国国立衛生研究所の修正脳卒中評価尺度(the Modified National Institutes of Health Stroke Scale)を用いた.

結 果

髄膜炎が疑われた 301 例の患者のうち,235 例(78%)が,腰椎穿刺を受ける前に頭部の CT 検査を受けた.この 235 例の患者のうち 56 例(24%)において,CT の検査結果が異常であった;11 例(5%)の患者には,腫瘤効果を示す証拠が得られた.頭部 CT の異常所見と関連していた試験開始時の臨床特徴は,年齢が 60 歳以上,免疫不全状態,中枢神経系疾患の病歴,および来院前 1 週間以内における痙攣の病歴に加え,以下に示すような神経学的異常であった:異常な意識レベル,連続して尋ねた 2 つの質問に正しく答えられない,あるいは連続して与えた 2 つの指示に従えないこと,注視麻痺,視野の異常,顔面神経麻痺,腕の異常運動,脚の異常運動,および言語障害(たとえば,失語症など).頭部の CT スキャンを受けた 235 例の患者のうち 96 例(41%)には,これらの特徴は,試験開始時にはまったく存在していなかった.これらの 96 例の患者のうち 93 例は CT スキャンが正常であったので,その陰性適中率は 97%であった.間違って分類された 3 例の患者については,このうちの 1 例のみにおいて CT で軽度の腫瘤効果が得られたが,その後,この 3 例のすべてに腰椎穿刺が行われ,1 週間後にも脳ヘルニアを示すような所見は得られなかった.

結 論

髄膜炎が疑われた成人では,その臨床特徴で,頭部 CT 検査で異常所見が認められそうにない患者を識別することができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1727 - 33. )