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July 5, 2001 Vol. 345 No. 1

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帝王切開の既往を有する女性における分娩中の子宮破裂のリスク
Risk of Uterine Rupture during Labor among Women with a Prior Cesarean Delivery

M. LYDON-ROCHELLE, V.L. HOLT, T.R. EASTERLING, AND D.P. MARTIN

背景

米国では毎年,帝王切開分娩歴のある女性が再び妊娠した楊合,その約 60%が経腟分娩を試みている.このような状況での経腟分娩の試みは,まれではあるが重篤な産科合併症である子宮破裂のリスクを増加させるかもしれないという懸念が続いている.

方 法

1987~96 年の期間にワシントン州の民間病院で帝王切開によって単生児を出産した初産婦で,同期間に単生児の第二子を出産したすべての女性のデータを用いて,人口ベースの後ろ向きコホート解析を実施した(対象女性は合計で 20,095 例).自然陣痛発来による分娩,プロスタグランジンで誘発した分娩,およびプロスタグランジン以外の方法で誘発した分娩における子宮破裂のリスクを評価した;これらの三つの分娩群のリスクを,分娩誘発を行わずに帝王切開分娩を再度行った群のリスクと比較した.

結 果

子宮破裂の発生割合は,分娩誘発を行わずに帝王切開分娩を再度行った女性では 1,000 人当り 1.6 人(11 例),自然陣痛発来による分娩の女性では 1,000 人当り 5.2 人(56 例),プロスタグランジン以外の方法で誘発した分娩の女性では 1,000 人当り 7.7 人(15 例),プロスタグランジンで誘発した分娩の女性では 1,000 人当り 24.5 人(9 例)であった,子宮破裂は,分娩誘発を行わずに帝王切開分娩を再度行った女性のリスクと比較して,自然陣痛発来による分娩の女性(相対危険度,3.3;95%信頼区間,1.8~6.0),プロスタグランジン以外の方法で誘発した分娩の女性(相対危険度,4.9;95%信頼区間,2.4~9.7),およびプロスタグランジンで誘発した分娩の女性(相対危険度,15.6;95%信頼区間,8.1~30.0)において,より発生しやすかった.

結 論

帝王切開の既往を一度有する女性では,子宮破裂のリスクは,分娩誘発を行った女性のほうが,分娩誘発を行わずに帝王切開分娩を再度行った女性よりも高い.プロスタグランジンで誘発した分娩でもっともリスクが高い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 3 - 8. )