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September 20, 2001 Vol. 345 No. 12

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2 型糖尿病の患者における糖尿病性腎症の進展に対するイルベサルタンの効果
The Effect of Irbesartan on the Development of Diabetic Nephropathy in Patient with Type 2 Diabetes

H.-H. PARVING AND OTHERS

背景

微量アルブミン尿と高血圧症は,糖尿病性腎症の危険因子である.レニン–アンジオテンシン系の遮断は,1 型糖尿病の患者においては糖尿病性腎症への進行を遅らせるが,2 型糖尿病の高血圧患者について同様のデータはない.2 型糖尿病と微量アルブミン尿が存在する高血圧患者において,アンジオテンシン-II 受容体拮抗薬イルベサルタン(irbesartan)の腎臓保護作用の評価を行った.

方 法

2 型糖尿病と微量アルブミン尿が存在する高血圧患者,合計 590 例を,イルベサルタンの多国共同の無作為二重盲検プラセボ対照試験に組み入れ,150 mg/日または 300 mg/日のいずれかの用量を投与して,2 年間追跡調査した.主要転帰は,糖尿病性腎症の発症までの時間とし,翌朝までの夜間の検体において,アルブミンの尿中排泄率が 200 μg/分以上および試験開始時の値から少なくとも 30%上昇した持続性アルブミン尿によって定義した.

結 果

3 群の試験開始時の患者特性は類似していた.300 mg 群では 194 例中 10 例(5.2%),150 mg 群では 195 例中 19 例(9.7%)が,主要エンドポイントに達したのに対して,プラセボ群では 201 例中 30 例(14.9%)が到達した(イルベサルタンの 2 群のハザード比は,それぞれ 0.30 [95%信頼区間,0.14~0.61;p<0.001],および 0.61 [95%信頼区間,0.34~1.08;p=0.08]).試験経過中の平均血圧は,プラセボ群では 144/83 mmHg,150 mg 群では 143/83 mmHg,300 mg 群では 141/83 mmHg であった(収縮期血圧のプラセボ群とイルベサルタン併合群との群間比較で,p=0.004).重篤な有害事象は,イルベサルタンの治療を受けた患者で低頻度であった(p=0.02).

結 論

イルベサルタンは,2 型糖尿病と微量アルブミン尿が存在する患者において,その降圧作用とは独立して腎臓を保護する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 870 - 8. )