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April 11, 2002 Vol. 346 No. 15

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根治的前立腺切除後の罹患率の差
Variations in Morbidity after Radical Prostatectomy

C.B. BEGG AND OTHERS

背景

癌手術に関する最近の研究では,病院や外科医によって転帰が異なることが示されている.われわれは,前立腺癌に対する根治的前立腺切除後の罹患率の差を検討した.

方 法

「監視,疫学,および最終結果」(SEER:the Surveillance, Epidemiology, and End Results)‐メディケア関連データベースを用いて,根治的前立腺切除後の健康に関する転帰を評価した.1992~96 年に根治的前立腺切除術を受けた患者 11,522 例のメディケア請求記録から,術後合併症,遅発性尿路合併症(手術後 31~365 日の狭窄または瘻孔),および長期失禁(手術後 1 年以上)の発症率を推測した.これらの率を,病院の手術件数および外科医の手術件数に関して解析した.

結 果

病院の手術件数も外科医の手術件数も,手術に関連した死亡とは有意に関連していなかった.術後合併症と遅発性尿路合併症に関しては,手術件数と転帰の関係に,有意な傾向が認められた.術後罹患率は,手術件数の非常に多い病院のほうが手術件数の少ない病院よりも低く(27% 対 32%,P=0.03),前立腺切除を手術件数の非常に多い外科医が行った場合のほうが,手術件数の少ない外科医が行った場合よりも低かった(26% 対 32%,P<0.001).遅発性尿路合併症発症率も同様なパターンであった.失禁の長期継続に関する結果はあまり明確ではなかった.手術件数が多いまたは非常に多い外科医 159 名を対象とした詳細分析では,これらの臨床転帰において,外科医による幅広い差が認められ,その差は,症例群での偶発性や認められた ばらつき から予測される差より大きかった.

結 論

前立腺切除を受ける予定の男性は,手術件数の多い病院で,前立腺切除実施件数の多い外科医に手術を受ければ,術後合併症および遅発性尿路合併症の発症率が有意に低下する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 1138 - 44. )