ネイルサロンのフットバスに関連したマイコバクテリア性癤症の集団発生
An Outbreak of Mycobacterial Furunculosis Associated with Footbaths at a Nail Salon
K.L. WINTHROP AND OTHERS
2000 年 9 月,北カリフォルニアの医師が,下肢に持続性の培養陰性のせつを有する 4 例の患者を報告した.これらの患者は同じネイルサロンでペディキュアをしていた.われわれは,このネイルサロンの顧客における,Mycobacterium fortuitum によるせつ症の集団発生を確認し,調査した.
患者は,膝下に持続性の皮膚感染症を有するサロンの顧客と定義した.同定された最初の 48 例の患者と,対照として同じサロンでペディキュアをしたことのある罹患していない友人および家族 56 例を用いて,症例対照研究を行った.患者とサロンの環境から培養した,選抜 M. fortuitum 単離株を,パルスフィールド・ゲル電気泳動により比較した.
せつ症を有するネイルサロンの顧客 110 例を同定した.34 例からの培養は,速育性マイコバクテリアが陽性であった(32 例は M. fortuitum,2 例は未同定株).罹患した患者の大半は 1 個以上のせつを有していた(中央値,2;範囲,1~37).すべての患者と対照者は渦流式フットバスを使用していた.ペディキュアの前にかみそりで脚を剃ることが,感染の危険因子であった(患者 70% 対 対照者 31%;補正オッズ比,4.8;95%信頼区間,2.1~11.1).サロンの 10 個すべてのフットバスからの培養で,M. fortuitum が得られた.3 個のフットバスおよび患者 14 例から単離した M. fortuitum は,電気泳動では区別できなかった.
われわれは,1 軒のネイルサロンでフットバスを使用し,ペディキュアをした人のあいだでの,マイコバクテリア感染の大規模な集団発生を確認した.医師は,渦流式フットバスを使用したあとに持続性せつ症を発症した患者について,この原因を疑うべきである.