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May 9, 2002 Vol. 346 No. 19

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小型の腹部大動脈瘤に対する早期修復と監視の長期転帰
Long-Term Outcomes of Immediate Repair Compared with Surveillance of Small Abdominal Aortic Aneurysms

THE UNITED KINGDOM SMALL ANEURYSM TRIAL PARTICIPANTS

背景

英国と米国における 2 件の臨床試験は,早期の予防的待機手術が,小型の腹部大動脈瘤を有する患者の 5 年生存率を改善しないことを明らかにしている.われわれは,英国小型動脈瘤試験(United Kingdom Small Aneurysm Trial)における長期転帰を報告する.

方 法

小型の腹部大動脈瘤(直径 4.0~5.5 cm)を有する 60~76 歳の患者 1,090 例を,2 群のうちの 1 群に無作為に割付けた:563 例は早期待機手術の実施に,527 例は超音波検査による監視の実施に割付けた.患者は 1998 年 6 月までの試験期間中およびそれ以降 2001 年 8 月まで追跡調査した;平均追跡調査期間は 8 年間であった(範囲 6~10 年).

結 果

平均生存期間は監視群患者では 6.5 年間,早期手術群患者では 6.7 年間であった(P=0.29).監視群と比較した早期手術群の全死因死亡の補正ハザード比は 0.83 であった(95%信頼区間 0.69~1.00;P=0.05).早期手術群は,30 日間内手術死亡率(5.5%)のため,はじめは生存率の点で不利であった.生存率曲線は 3 年後に交差し,8 年後の死亡率は,早期手術群のほうが監視群よりも 7.2 ポイント低かった(P=0.03).年齢,性別,動脈瘤の最初の大きさがハザード比に影響を与える,または監視群における手術の遅れが 30 日間術後死亡率を高めるという証拠は認められなかった.死亡した男性 411 例のうち 19 例(5%),死亡した女性 85 例のうち 12 例(14%)の死因が,動脈瘤破裂であった(P=0.001).早期禁煙率は早期手術群のほうが監視群よりも高かった.

結 論

小型の腹部大動脈瘤を有する患者において,われわれは,早期手術群と監視群のあいだに,平均生存率の長期的な差異を認めなかった.しかし,8 年後では,早期手術群のほうで全死亡率が低かった.この差は,一部,早期手術群の患者が取り入れた生活様式の改善のためである可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 1445 - 52. )