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January 17, 2002 Vol. 346 No. 3

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MRI で確認される異常と多発性硬化症による障害に関する経時的研究
A Longitudinal Study of Abnormalities on MRI and Disability from Multiple Sclerosis

P.A. BREX AND OTHERS

背景

視神経炎または脳幹症候群や脊髄症候群などの,臨床的に多発性硬化症が示唆される孤立性疾患を有する患者では,脳の T2 強調磁気共鳴画像法(MRI)で確認できる病変が存在すると,多発性硬化症の発症する確率が増す.われわれは,初期病変容積,容積の変化,および長期的障害の関係を検討した.

方 法

孤立性疾患を有する患者を対象に連続的に MRI 検査を行い,そのうち 71 例を平均 14.1 年後に再評価した.機能障害は Kurtzke の拡大障害状態尺度(Kurtzkeユs Expanded Disability Status Scale : EDSS)(スコアの範囲は 0~10 で,スコアが高いほど機能障害が重度であることを示す)を用いて測定した.

結 果

初診時の MRI の結果が異常であった 50 例中 44 例(88%),および MRI の結果が正常であった 21 例中 4 例(19%)が,臨床的に明確な多発性硬化症を発症した.多発性硬化症を有する患者の追跡調査時の EDSS スコアの中央値は 3.25(範囲 0~10)であり,31%の患者のスコアが 6 以上であった(多発性硬化症のため死亡した 3 例を含む).14 年後の EDSS スコアは,5 年後の MRI で確認された病変の容積と中等度の相関を示し(r=0.60),また,最初の 5 年間における病変容積の増加量とも中等度の相関を示した(r=0.61).

結 論

初診時に,多発性硬化症を示唆する孤立性疾患を認めた患者では,最初の 5 年間に脳の MRI で確認された病変容積の増加量が,多発性硬化症による長期的障害の程度と相関した.この関係は中等度にすぎず,病変の容積のみでは疾患修飾療法の使用を決定するための十分な根拠とならないかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 158 - 64. )