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May 23, 2002 Vol. 346 No. 21

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BRCA1 または BRCA2 突然変異の保因者における予防的卵巣摘出術
Prophylactic Oophorectomy in Carriers of BRCA1 or BRCA2 Mutations

T.R. REBBECK AND OTHERS

背景

BRCA1 または BRCA2 突然変異を有する女性における,婦人科系癌のリスクを減少させるための予防的両側卵巣摘出術の有効性を検討したデータは限られている.われわれは,この手技がこのような突然変異を有する女性の体腔上皮癌および乳癌のリスクを減少させるかどうかを検討した.

方 法

疾患に関連した生殖細胞系 BRCA1 または BRCA2 突然変異を有する女性,合計 551 例を患者登録から同定し,卵巣癌と乳癌の発生を研究した.われわれは,予防的両側卵巣摘出術を受けた 259 例と,予防的両側卵巣摘出術を受けていない,マッチさせた対照 292 例を対象に卵巣癌の発生率を検討した.乳癌や予防的乳房切除の既往歴のない 241 例から成るサブグループでは,予防的両側卵巣摘出術を行った 99 例とマッチさせた対照例の 142 例で乳癌の発生率が検討された.両群における術後追跡調査期間は 8 年以上であった.

結 果

予防的卵巣摘出術を受けた 6 例(2.3%)は摘出術時に I 期の卵巣癌と診断され,2 例(0.8%)は予防的両側卵巣摘出術後 3.8 年と 8.6 年で乳頭状漿液性腹膜癌と診断された.対照群では 58 例(19.9%)が 8.8 年の平均追跡期間後に卵巣癌と診断された.手術時に癌と診断された 6 例を除くと,予防的卵巣摘出術は体腔上皮癌のリスクを有意に減少させた(ハザード比 0.04;95%信頼区間 0.01~0.16).予防的両側卵巣摘出術を受け,乳癌リスクの研究対象であった 99 例のうち,乳癌は 21 例(21.2%)で発現し,対照群では 60 例(42.3%)で発現した(ハザード比 0.47;95%信頼区間 0.29~0.77).

結 論

予防的両側卵巣摘出術は,BRCA1 または BRCA2 突然変異を有する女性の体腔上皮癌および乳癌のリスクを減少させる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 1616 - 22. )