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May 30, 2002 Vol. 346 No. 22

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1 型糖尿病患者の親族におけるインスリンの効果
Effects of Insulin in Relatives of Patients with Type 1 Diabetes Mellitus

DIABETES PREVENTION TRIAL-TYPE 1 DIABETES STUDY GROUP

背景

インスリン療法が,糖尿病患者の糖尿病でない親族の糖尿病を遅延または予防できるかどうかは不明である.

方 法

無作為対照非盲検臨床試験において,われわれは糖尿病患者の一親等,二親等の親族 84,228 人を対象に膵島細胞抗体検査を実施した.3,152 人が陽性を示し,その 3,152 人中 2,103 人はリスクの程度をみるため,遺伝子的,免疫学的および代謝的な評価判定を受けた;2,103 人中 372 人で 5 年の予測リスクが 50%を上回った.さらに 372 人中 339 人(年齢中央値 11.2 歳)を十分な観察,またはウルトラレンテインスリンの低用量皮下注射 1 日 2 回投与,総用量 0.25 単位/体重 kg/日と年 1 回の 4 日間連続インスリン静脈内投与を併用した介入,のいずれかに無作為に割付けた.経口ブドウ糖負荷試験は 6 ヵ月ごとに実施した.追跡期間の中央値は 3.7 年であった.主要エンドポイントは糖尿病の診断であった.

結 果

介入群で 69 例,観察群で 70 例が糖尿病と診断された.糖尿病への進行の年率は介入群では 15.1%,観察群では 14.6%であった.糖尿病の累積罹患率は両群で同様であった(観察群と比較した場合の介入群の相対リスク 0.96).糖尿病を発病した被験者のほとんどは無症状であった.糖尿病への進行は,耐糖能のベースライン値が正常な被験者(10%/年)よりも異常な被験者(22%/年)のほうが早く起った(P<0.001).重症な低血糖の発現はみられなかった.診断バイアスなしに評価して,化学的な低血糖の発生率は両群で同様であった.

結 論

糖尿病のリスクが高い人では,この試験で用いたインスリンの用量は 1 型糖尿病を遅延または予防しない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 1685 - 91. )