October 24, 2002 Vol. 347 No. 17
肥大型心筋症患者における心室中隔の非外科的縮小
Nonsurgical Reduction of the Interventricular Septum in Patients with Hypertrophic Cardiomyopathy
W. SHAMIM AND OTHERS
肥大型心筋症で左心室の流出路閉塞を有する患者では,非外科的心室中隔縮小が,薬物療法に失敗した場合の治療選択肢となる.われわれは,非外科的中隔縮小による心機能および心電図・心エコー特性への長期的影響について検討した.
肥大型心筋症で,平均(±SD)年齢が 48.5±17.2 歳の連続した患者 64 例に,左冠動脈前下行枝の中隔穿通枝にエタノールを注入することにより,非外科的中隔縮小を行った.これら患者を,平均 3.0±1.3 年後に,運動負荷試験,心電図検査,安静時とドブタミン投与(ストレス誘発)時の心エコー検査により評価した.
追跡検査で,患者は,ニューヨーク心臓協会の分類,最大酸素消費量(1 分間当り 18.4±5.8 mL/kg 体重から 30.0±4.4 mL/kg 体重へ,P<0.001)および左室流出路の勾配(安静時の勾配,64±36 mmHg から 16±15 mmHg へ;P<0.001;ストレス誘発時の勾配,132±34 mmHg から 45±19 mmHg へ;P<0.001)で有意な改善を示した.手技に関連した合併症として,右脚ブロックが患者全例に,完全心ブロックが患者 31 例(48%)に,および QRS 間隔と補正 QT 間隔の有意な増加がみられた.患者 17 例(27%)は,永久ペーシングを必要とした.R 波の振幅は有意に減少した(32±8 mV から 17±7 mV へ,P<0.001).左室腔の大きさは増大し,心室中隔厚は減少した.
非外科的中隔縮小は,安静時およびストレス誘発時における左室流出路の勾配の持続的な減少に伴って,運動容量に関する自覚的および他覚的指標の持続的改善をもたらす.しかし,手技に関連して完全心ブロックの発生率も高くなることから,しばしば永久ペーシングが必要となる.