October 24, 2002 Vol. 347 No. 17
医科大学と企業スポンサー間の臨床試験契約における規定に関する全国調査
A National Survey of Provisions in Clinical-Trial Agreements between Medical Schools and Industry Sponsors
K.A. SCHULMAN AND OTHERS
私益に支配されることがますます多くなっている研究環境下での臨床試験の誠実性に対する脅威を懸念して,医学雑誌編集者国際委員会(Intertional Committee of Medical Journal Editors;ICMJE)は,研究者の研究計画への参加やデータ利用,出版管理に関する改訂指針を発行している.学術機関で実施されている研究がこの新基準を遵守しているかどうかは不明である.
2001 年 11 月~2002 年 1 月,米国の医科大学の担当者に,多施設共同臨床試験の企業スポンサーと当該機関の契約における規定について聞き取り調査を行った.回答者の一部には,そのような試験に関する調整センターとしての契約についても質問した.
米国医科大学協会(Association of American Medical Colleges)の会員である 122 の医科大学のうち,108 大学が調査に参加した.前年に機関ごとに結ばれた施設レベルの契約数の中央値は,103 であった(四分位範囲 50~210).広い範囲にわたる規定について,―― 多施設共同試験に関する報告の著者がすべての試験データを利用できることを約束したものから(1%[四分位範囲 0~21]),データ収集やモニタリングに関する計画に言及しているものまで(10%[四分位範囲 1~50])―― その遵守に関するスコアによれば,新しい ICMJE 指針で具体化された基準が限定的にしか遵守されていないことが明らかとなった.調整センターとしての契約に関するスコアは,ほとんどの調査項目に対していくぶん高かった.
学術機関は企業の助成による研究に日常的に携わっているが,試験計画,データ利用,出版権に関する ICMJE 指針を遵守していない.われわれの知見は,臨床研究の契約過程の再評価が緊要であることを示唆している.