December 19, 2002 Vol. 347 No. 25
乳癌における生存率の予測因子としての遺伝子発現特性
A Gene-Expression Signature as a Predictor of Survival in Breast Cancer
M.J. VAN DE VIJVER AND OTHERS
乳癌のより正確な予後測定法により,補助全身療法に関する患者の選択が改善するであろう.
これまでに確立した 70 遺伝子による予後プロファイルを評価するために,原発性乳癌を有する一連の患者 295 例を,不良な予後または良好な予後に関連する遺伝子発現特性について,マイクロアレイ解析を用いて分類した.全患者は病期 I または病期 II の乳癌であり,53 歳未満であった.151 例はリンパ節転移陰性の乳癌であり,144 例はリンパ節転移陽性の乳癌であった.単変量および多変量統計解析を行い,予後プロファイルの予測力を評価した.
患者 295 例中,180 例が不良な予後の特性,115 例が良好な予後の特性を示し,10 年間での全体の生存率は,それぞれ平均(±SE)54.6±4.4%および 94.5±2.6%であった.10 年後も遠隔転移が生じない確率は,不良な予後の特性を示した群では 50.6±4.5%,良好な予後の特性を示した群では 85.2±4.3%であった.不良な予後の特性を示した群の遠隔転移の推定ハザード比は,良好な予後の特性を示した群と比較して5.1 であった(95%信頼区間 2.9~9.0;P<0.001).この比は,リンパ節の状態に基づいて患者の解析を行った場合にも,依然として有意であった.Cox の多変量回帰解析では,この予後プロファイルが疾患の転帰を予測するうえで強力な独立因子であることが示された.
われわれが検討した遺伝子発現プロファイルは,臨床的ならびに組織学的基準に基づく標準的なシステムに比べて,若年乳癌患者における疾患の転帰に関する,より強力な予測因子である.