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December 19, 2002 Vol. 347 No. 25

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産後の早期退院を禁止する法律が新生児の追跡検査,有害事象,および HMO 費用に与える影響
Effects of a Law against Early Postpartum Discharge on Newborn Follow-up, Adverse Events, and HMO Expenditures

J.M. MADDEN AND OTHERS

背景

産後の早期退院による新生児への害についての懸念から,1990 年代中頃に最低限の入院日数が定められた.われわれは,健康維持機構(HMO)の早期退院プロトコル(産後 1 晩の入院と 1 回の自宅訪問)と,後に制定された48 時間の入院を保障する州法の影響について調査した.

方 法

中断時系列分析と正常な普通分娩であった母親と新生児 20,366 組のデータを用いて,入院期間,出生後 3 日目または 4 日目の新生児検査,および外来診療の来院,救急診療部の来院と新生児の再入院の変化を評価した.また,入院および自宅を基本としたケアに対する費用も調査した.

結 果

早期退院プログラムは,2 晩未満の入院の率を 29.0%から 65.6%に増加させた(P<0.001).その割合は,州法の制定後 13.7%に減少した(P<0.001).出生後 3 日目または 4 日目の新生児検査の率は,早期退院プログラムにより 24.5%から 64.4%に増加したが(P<0.001),州法の制定後 53.0%に下降した(P<0.001)―― 主として自宅訪問率の変化を反映した変化であった.医療センターへの緊急ではない来院率は,入院短縮プログラム導入後に 33.4%から 44.7%に増加した(P<0.001).救急診療部への来院率(四半期平均 1.1%)または再入院(四半期平均 1.5%)の有意な変化はなかった.低所得,母親の年齢が低いこと,低い教育レベル,あるいはこれら特性のいくつかの組み合せをもつ社会的弱者のサブグループにおいても結果は同様であった.病院および自宅を基本としたサービスにおける平均の HMO 支出額は,早期退院プログラムでは 1 回の出産につき 90 ドル減少し,州法の制定後 100 ドル増加した.

結 論

いずれの政策も新生児の健康上の転帰に影響を与えなかったように思われる.州法の制定後,新生児が,推奨されているように出生後 3 日または 4 日目に検査される可能性は低かった.病院費用の変化から,2 つの政策は,病院と自宅を基本としたサービスに対する HMO 支出額に最小限の影響しか与えなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 2031 - 8. )