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July 4, 2002 Vol. 347 No. 1

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造血細胞移植レシピエントに対する不活化水痘ワクチンの使用
Use of an Inactivated Varicella Vaccine in Recipients of Hematopoietic-Cell Transplants

A. HATA AND OTHERS

背景

水痘帯状疱疹ウイルスの潜伏状態からの再活性化は,帯状疱疹の原因となり,造血細胞移植レシピエントのあいだでよくみられる.

方 法

われわれは,非ホジキンあるいはホジキンリンパ腫に対する自家造血細胞移植を受ける予定の患者を,水痘ワクチン接種群とワクチン非接種群に無作為に割付けた.熱で不活化した弱毒化水痘生ワクチンを,移植前 30 日以内と移植後 30,60,90 日に接種した.12 ヵ月間,帯状疱疹と水痘帯状疱疹ウイルスに対する免疫について患者をモニターした.

結 果

登録患者 119 例中 111 例が移植を受けた.ワクチン接種患者 53 例中 7 例(13%)とワクチン非接種患者 58 例中 19 例(33%)で帯状疱疹が発症した(P=0.01).移植前に帯状疱疹を発症した患者 2 例を除くと,それぞれの割合は 13%と 30%であった(P=0.02).in vitro において水痘帯状疱疹ウイルスに反応した CD4 T 細胞増殖(平均刺激指数として表示)は,ワクチン非接種患者よりもワクチン接種患者において強かった(3 回投与後の 90 日の時点(P=0.04);全 4 回投与後の 120 日の時点(P<0.001),6 ヵ月の時点(P=0.004),12 ヵ月の時点(P=0.02)).帯状疱疹のリスクは,刺激指数が 1.6 を超える場合,単位上昇ごとに減少した;5.0 を超える刺激指数は,93%を超える予防効果と相関した.注射部位における硬結,紅斑や局所痛が,ワクチン接種の 10%で観察された.

結 論

造血細胞移植前および移植後 90 日のあいだに接種された不活化水痘ワクチンにより,帯状疱疹のリスクが減少する.予防効果は水痘帯状疱疹ウイルスに対する CD4 T 細胞免疫の再構成と相関している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 26 - 34. )