The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 29, 2002 Vol. 347 No. 9

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

腎移植レシピエントにおける腎尿細管細胞からの腎性腺腫の発生
Derivation of Nephrogenic Adenomas from Renal Tubular Cells in Kidney-Transplant Recipients

P.R. MAZAL AND OTHERS

背景

腎性腺腫は,腎移植レシピエントにおいてはよくみられる,尿路の尿路上皮性粘膜内の良性の腫瘍様病変である.われわれは,腎移植レシピエントにおける腎性腺腫の起源を検討した.

方 法

X および Y 染色体に対するプローブを用いた螢光 in situ ハイブリッド形成法や,腎尿細管抗原に対する抗体を用いた免疫組織化学的方法や,レクチン組織化学的方法を用いて組織切片を分析した.患者 29 例からの 46 の腎性腺腫を分析した.

結 果

男性ドナーからの移植片を受けた女性レシピエント 14 例および女性ドナーからの移植片を受けた男性レシピエント 10 例におけるすべての腎性腺腫は,ドナーの腎臓と同じ性染色体の状態を示したが,周辺膀胱組織と同じレシピエントの性染色体状態を示さなかった.女性ドナーからの移植片を受けた女性レシピエント 6 例すべての腎性腺腫は,女性染色体を示し,男性ドナーからの移植片を受けた男性レシピエント 16 例の腎性腺腫は男性染色体を示した.腎性腺腫においてアクアポリン 1,PAX2 や,ピーナッツ凝集素,Lotus tetragonolobus 凝集素および Sophora japonica 凝集素に対するレクチン結合能が存在することから,腎尿細管細胞起源であることが示唆された.

結 論

腎移植レシピエントにおける腎性腺腫は,腎移植片の尿細管細胞に由来し,レシピエントの膀胱尿路上皮の化生性増殖ではない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 653 - 9. )