August 29, 2002 Vol. 347 No. 9
体外受精の保険適用と転帰
Insurance Coverage and Outcomes of in Vitro Fertilization
T. JAIN, B.L. HARLOW, AND M.D. HORNSTEIN
米国におけるほとんどの保険会社は体外受精に対する保険を適用していないが,いくつかの州は適用を義務付けている.
米国 360 ヵ所の不妊治療施設から疾病対策予防センターに報告された 1998 年のデータと,2000 年の米国国勢調査のデータを用いて,保険適用の状況別の体外受精サービスの利用と転帰を検討した.
体外受精サービスを利用できる州のうち,3 州(31 施設)は保険の完全適用を義務付け,5 州(27 施設)は一部適用を義務付け,37 州とプエルトリコおよびコロンビア特別区(302 施設)は保険適用を義務付けていなかった.完金適用を義務付けている州の施設では,一部適用を義務付けている州の施設,保険適用を義務付けていない州の施設よりも,体外受精周期が多く(それぞれ,生殖可能年齢女性 1,000 人あたり 3.35 周期 対 1.46 周期,1.21 周期;P<0.001),凍結胚移植が多かった(それぞれ,生殖可能年齢女性 1,000 人あたり 0.43 回 対 0.30 回,0.20 回;P<0.001).生児出生にいたった周期の割合は,保険適用を義務付けていない州のほうが,一部適用を義務付けている州,完全適用を義務付けている州よりも高かったが(それぞれ,25.7% 対 22.2%,22.7%;P<0.001),3 胎以上の多胎妊娠の割合も高かった(それぞれ,11.2% 対 8.9%,9.7%;P<0.007). 周期あたりの新鮮胚移植は,完全適用を義務付けている州のほうが,一部適用を義務付けている州,保険適用を義務付けていない州よりも少なかった(それぞれ P=0.001,P<0.001).
州に義務付けられた体外受精サービスに対する保険適用は,このサービスの利用増加と関連しているが,周期あたりに移植される胚の数の減少,妊娠にいたる周期の割合の減少,3 胎以上の多胎妊娠の割合の減少とも関連している.