September 26, 2002 Vol. 347 No. 13
2a 型ナトリウム–リン酸共輸送体の変異によって引き起される低リン酸血症に関係する腎結石症と骨粗鬆症
Nephrolithiasis and Osteoporosis Associated with Hypophosphatemia Caused by Mutations in the Type 2a Sodium–Phosphate Cotransporter
D. PRIE AND OTHERS
疫学的研究から,遺伝要因は腎カルシウム結石の形成や骨脱灰の素因を与えることが示唆されている.腎臓でのリン酸再吸収の減少による血清リン酸濃度の低下が,このような症状を有する患者の一部で報告されており,このことは,腎臓でのリン酸再吸収低下につながる遺伝要因が腎カルシウム結石の形成や骨脱灰に関与している可能性を示唆している.われわれは,腎臓における主要なナトリウム–リン酸共輸送体(NPT2a)をコードしている遺伝子の変異が,これらの疾患のある患者に存在するという仮説を立てた.
尿路結石症あるいは骨脱灰患者であり,腎リン酸最大再吸収量の低下と関連した特発性低リン酸血症が持続している患者 20 例を検討した.NPT2a の遺伝子のコード領域は全患者について配列を決定した.同定した変異の機能的影響は,Xenopus laevis(アフリカツメガエル)卵母細胞に変異 RNA を発現させることによって解析した.
再発性尿路結石症 1 例と骨脱灰 1 例の患者 2 例は,2 つの異なる変異のヘテロ接合型であった.1 つの変異により,48 番目のアラニンがフェニルアラニンに置換され,もう 1 つの変異により 147 番目のバリンがメチオニンに置換された.変異 NPT2a を発現している卵母細胞では,リン酸誘導性電流とナトリウム依存性リン酸吸収に障害があった.卵母細胞に野生型 RNA と変異 RNA を同時注入した結果から,変異蛋白が変化した機能をもつことが示された.
NPT2a 遺伝子におけるヘテロ接合性変異は,尿路結石症や骨脱灰の患者における,低リン酸血症と尿中へのリン酸損失の原因である可能性がある.