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April 17, 2003 Vol. 348 No. 16

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血中鉛濃度が 10 μg/dL 未満の小児における知的障害
Intellectual Impairment in Children with Blood Lead Concentrations below 10 μg per Deciliter

R.L. Canfield and Others

背景

小児の血中鉛濃度が飛躍的に低下し,米国疾病管理予防センターが懸念濃度を 10 μg/dL(0.483 μmol/L)に下げたにもかかわらず,鉛濃度がこの濃度未満の場合の,小児の神経行動学的機能についてはほとんど知られていない.

方 法

小児 172 人の血中鉛濃度を,6,12,18,24,36,48,60 ヵ月齢時に測定し,3 歳および 5 歳時にスタンフォード–ビネー式知能検査を行った.IQ と血中鉛濃度との関係を,線形および非線形混合モデルを用いて推定し,母親の IQ,住居環境の質,およびその他の交絡の可能性のある因子で補正した.

結 果

血中鉛濃度は IQ と有意に逆相関していた.線形モデルでは,生涯の平均血中鉛濃度が 10 μg/dL 増加するごとに,IQ が 4.6 ポイント低下した(P=0.004).一方,最高鉛濃度が 10 μg/dL 未満のままであった 101 人の副標本では,鉛濃度の一定の変化に関連した IQ の変化はより大きかった.全標本による非線形モデルで推定したところ,生涯の平均血中鉛濃度が 1 μg/dL から 10 μg/dL に増加すると,IQ は 7.4 ポイント低下した.

結 論

血中鉛濃度は,たとえ 10 μg/dL 未満であっても 3 歳児と 5 歳児の IQ スコアと逆相関しており,これらの濃度での血中鉛濃度と関連した IQ 低下は,より高濃度における IQ 低下よりも大きい.これらの知見は,これまでに予測されていたよりも多くの米国の小児が,環境中の鉛により悪影響を受けている可能性があることを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 1517 - 26. )