April 17, 2003 Vol. 348 No. 16
患者の安全:外来ケアにおける薬剤有害事象
Adverse Drug Events in Ambulatory Care
T.K. Gandhi and Others
薬剤に関連した有害事象は入院患者では頻繁に発生するが,これらの事象の多くは予防できる.しかし,外来患者の有害事象についてのデータはほとんどない.われわれは,外来患者におけるそのような事象の発生率,種類,重症度,予防の可能性を検討し,予防方法を明らかにするための研究を行った.
ボストンにある 4 ヵ所の成人プライマリケア診療施設(2 ヵ所は病院ベース,2 ヵ所は地域ベース)において,患者調査と病歴の再調査を含めた前向きコホート研究を行った.4 週間のあいだに 1 回以上処方を受けた外来患者,合計 1,202 例を研究に組み入れた.処方箋は, 2 施設ではコンピュータ化され,他の 2 施設では手書きであった.
調査に回答した患者 661 例(回答率 55%)のうち,162 例で薬剤有害事象が発生し(25%;95%信頼区間 20~29%),事象数は 181 件(患者 100 例当り 27 件)であった.うち 24 件(13%)は重篤で,51 件(28%)は回復可能であり,20 件(11%)は予防可能であった.51 件の回復可能な事象のうち,32 件(63%)は薬剤に関連した症状に医師が対応しなかったことによるもので,19 件(37%)は患者が医師に症状を訴えなかったことによるものであった.有害事象にもっとも多く関連している薬剤の種類は,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(10%),β 遮断薬(9%),アンジオテンシン変換酵素阻害薬(8%),非ステロイド性抗炎症薬(8%)であった.多変量解析では,服用した薬剤の数だけが有害事象と有意に関連していた.
薬剤に関連した有害事象はプライマリケアでよくみられ,その多くは予防可能または回復可能なものである.症状を監視し,それに対応することが重要である.外来患者と医療提供者間のコミュニケーションを向上させることが,薬剤に関連した有害事象の予防に役立つ可能性がある.