April 24, 2003 Vol. 348 No. 17
米国の 2 つの地域における小児心筋症の罹患率
The Incidence of Pediatric Cardiomyopathy in Two Regions of the United States
S.E. Lipshultz and Others
小児心筋症の罹患率に関する住民ベースのデータは,大規模な前向き研究が行われていないためほとんどない.
1996 年以降,米国立心肺血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute)が助成する小児心筋症登録(Pediatric Cardiomyopathy Registry)は,米国のニューイングランド地方と中南西部(テキサス州,オクラホマ州,アーカンソー州)で新たに心筋症と診断された小児全例のデータを収集している.1996~99 年に心筋症と診断された,この地方の小児全例について報告する.
心筋症 467 例を確認した.全体の年間罹患率は小児 10 万人当り 1.13 例であった(95%信頼区間 1.03~1.23).罹患率は,1 歳未満の乳児で,1~18 歳の小児および青年よりも有意に高かった(10 万人当り 8.34 例 対 0.70 例,P<0.001).心筋症の年間罹患率は,白人の小児(上限推定値,10 万人当り 1.06 例)で黒人の小児(下限推定値,10 万人当り 1.47 例;P=0.02)よりも低く,男子で女子よりも高かった(10 万人当り 1.32 例 対 0.92 例,P<0.001).また,罹患率は地域によって有意差があった:ニューイングランド地方では 10 万人当り 1.44 例,中南西部では 10 万人当り 0.98 例(P<0.001).病型で分類すると,拡張型心筋症が症例の 51%を占め,肥大型心筋症が 42%,拘束型心筋症や他の病型が 3%で,4%は特定できなかった.年次別では罹患率に有意差はみられなかった.
米国の 2 つの大きな地域における小児心筋症の推定罹患率は,小児 10 万人当り 1.13 例である.ほとんどの症例は乳児期に確認されており,罹患率は性別,地域,人種的・民族的起源によって異なる.