The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

May 22, 2003 Vol. 348 No. 21

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

肥満に対する低炭水化物食の無作為化試験
A Randomized Trial of a Low-Carbohydrate Diet for Obesity

G.D. Foster and Others

背景

低炭水化物・高蛋白・高脂肪食(アトキンス式ダイエット)が流行しているにもかかわらず,その有効性は無作為対照試験で評価されていない.

方 法

肥満の男女 63 人を対象として 1 年間の多施設対照試験を行い,低炭水化物・高蛋白・高脂肪食または低カロリー・高炭水化物・低脂肪食(従来型)のいずれかに無作為に割付けた.ダイエットを行う大部分の人と同様の方法になるように,専門家との接触は最小限にとどめた.

結 果

低炭水化物食群の被験者は,従来食群の被験者よりも 3 ヵ月の時点での体重減少が大きく(平均 [±SD],体重:-6.8±5.0% 対 -2.7±3.7%;P=0.001),6 ヵ月の時点でも同様であったが(体重:-7.0±6.5% 対 -3.2±5.6%;P=0.02),12 ヵ月の時点で,差は有意ではなかった(体重:-4.4±6.7% 対 -2.5±6.3%;P=0.26).3 ヵ月後の総コレステロール濃度,低比重リポ蛋白コレステロール濃度のいずれにも,群間に有意差は認められなかった.研究期間の大部分を通して,高比重リポ蛋白コレステロール濃度の上昇およびトリグリセリド濃度の低下は,低炭水化物食群の被験者で従来食群の被験者よりも大きかった.両方の食事療法で拡張期血圧および経口糖負荷に対するインスリン反応が有意に減少した.

結 論

低炭水化物食では従来食に比べ,はじめの 6 ヵ月間は体重減少が大きかった(絶対差約 4%)が,1 年後にはその差は有意ではなかった.低炭水化物食は冠動脈心疾患に対するいくつかの危険因子をより改善することと関連していた.両群とも遵守状況は不良で,脱落例は多かった.低炭水化物・高蛋白・高脂肪食の長期安全性と有効性を明らかにするには,より長期の大規模な研究が必要である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 2082 - 90. )