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January 16, 2003 Vol. 348 No. 3

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気管支鏡の製造上の欠陥に関連した緑膿菌およびセラチア菌による汚染
Pseudomonas aeruginosa and Serratia marcescens Contamination Associated with a Manufacturing Defect in Bronchoscopes

D.L. Kirschke and Others

背景

気管支鏡検査に関連した緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)およびセラチア菌(Serratia marcescens)感染の集団発生と疑似集団発生が数件報告されている.われわれは,地域の病院で,気管支鏡検査に関連した P. aeruginosa および S. marcescens の分離株の調査を実施した.

方 法

地域の病院で2001 年 7~10 月に行われたすべての気管支鏡処置の記録を調査した.環境サンプルを採取した.P. aeruginosa の単離菌株について,パルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)を行った.

結 果

2001 年 7 月 1 日~10 月 31 日に,患者 60 例に対し 66 件の気管支鏡処置が行われ,細菌培養用に 43 の標本を得た:20 標本(47%)は P. aeruginosa 陽性であった.P. aeruginosa 陽性であった標本のうち 6 標本(30%)では,S. marcescens も検出された.P. aeruginosa の単離された 20 菌株はすべて,同じ製造業者が製造した新しい 4 つの気管支鏡のうち 3 つを用いて行われた処置と関連があった.製造仕様書とは異なり,4 つの気管支鏡すべての生検ポートキャップは容易に脱着可能であり,関連した 3 つの気管支鏡の生検ポートから P. aeruginosa が培養された.気管支鏡,患者,および 2 つの環境サンプルから単離した P. aeruginosa の PFGE パターンは区別できなかった.患者 1 例は,気管支鏡検査の 11 日後に緑膿菌性肺炎で入院した.製造業者は設計の変更を 1997 年に実施したと報告しており,製造上の問題のため規格を満たさない気管支鏡が販売された可能性がある.

結 論

P. aeruginosa および S. marcescens による気管支鏡の汚染と,製造上の欠陥のために気管支鏡の殺菌が不十分であった結果,地元の病院で患者が感染した可能性が確認された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 214 - 20. )