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January 2, 2003 Vol. 348 No. 1

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高リスク手術患者に対する肺動脈カテーテル使用に関する無作為比較対照試験
A Randomized, Controlled Trial of the Use of Pulmonary-Artery Catheters in High-Risk Surgical Patients

J.D. Sandham and Others

背景

一部観察研究では,治療をガイドするために肺動脈カテーテルを用いることが,死亡率上昇と関連していることを示唆している.

方 法

肺動脈カテーテルによる目標指向療法を,肺動脈カテーテルを用いない標準治療と比較する無作為試験を実施した.対象者は米国麻酔学会(ASA)クラス III あるいはクラス IV のリスクにある 60 歳以上の高リスク患者で,緊急あるいは待機的大手術とそれに続く集中治療室への入室が予定されていた.転帰は,治療群の割付けを知らない観察者により判定された.主要転帰は,院内での全死因死亡率であった.

結 果

適格患者 3,803 例のうち,1,994 例(52.4%)が無作為化された.2 つの治療群の,割付け時点での特性はほぼ同様であった.肺動脈カテーテルを用いずに手術を受けた患者 997 例のうち計 77 例(7.7%)が院内で死亡し,これに対して肺動脈カテーテルを使用した患者 997 例では 78 例(7.8%)が院内で死亡した(差 0.1 パーセント・ポイント[95%信頼区間 -2.3~2.5]).カテーテル群では,標準治療群よりも肺塞栓症の発生率が高かった(8 件 対 0 件,P=0.004).標準治療群とカテーテル群の患者における 6 ヵ月の時点での生存率は,それぞれ 88.1%と 87.4%であった(差 -0.7 パーセント・ポイント[95%信頼区間 -3.6~2.2];生存率の差がマイナスであれば標準治療が優れている);12 ヵ月の時点では,生存率はそれぞれ 83.9%と 83.0%であった(差 -0.9 パーセント・ポイント[95%信頼区間 -4.3~2.4]).入院期間の中央値は,両群共に 10 日間であった.

結 論

われわれは,集中治療を必要とする高齢の高リスク手術患者において,肺動脈カテーテルによる治療が標準治療にまさる利点を見出せなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 5 - 14. )