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February 6, 2003 Vol. 348 No. 6

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コカインに関連した胸痛を呈する患者における短期観察期間の妥当性
Validation of a Brief Observation Period for Patients with Cocaine-Associated Chest Pain

J.E. Weber, F.S. Shofer, G.L. Larkin, A.S. Kalaria, and J.E. Hollander

背景

コカインに関連した胸痛を呈する患者の後ろ向き研究では,虚血の所見がない場合,12 時間の観察期間後に救急診療部から患者を帰宅させるという方法が,合併症の発生率がきわめて低いことと関連している可能性が示唆されている.

方 法

コカインに関連した胸痛を呈し,心血管イベントのリスクが低~中等度である患者を対象に,9~12 時間の観察期間の安全性を前向きに評価した.コカインの使用を報告した,またはコカイン検査で陽性を示した患者で,胸痛診療部門でプロトコルに則したケアを受けた連続した患者を組み入れた.トロポニン I 濃度が正常で,心電図で新たな虚血性変化がみられず,9~12 時間の観察期間中に心血管系の合併症(律動異常,急性心筋梗塞,または再発症状)がみられなかった患者を胸痛診療部門から帰宅させた.主要転帰は,30 日間の心血管系の原因による死亡であった.

結 果

コカインに関連した胸痛を呈する患者 344 例を評価した.これら患者のうち 42 例(12%)はただちに入院したため,研究コホートは残りの 302 例であった.30 日間の追跡期間中,心血管疾患で死亡した患者はなく(0%;95%信頼区間 0~0.99),詳細な追跡データが揃っていた患者 256 例中 4 例のみに,非致命的な心筋梗塞がみられた(1.6%;95%信頼区間 0.1~3.1).非致命的な心筋梗塞の 4 例はすべて,コカインの使用を継続していた患者で発症した.

結 論

コカインに関連した胸痛を呈する患者で,胸痛診療部門において 9~12 時間のあいだに虚血または心血管系の合併症の所見がみられなければ,退院後 30 日間の死亡または心筋梗塞のリスクはきわめて低い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 510 - 7. )