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September 25, 2003 Vol. 349 No. 13

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2002 年の米国における輸血を介した西ナイルウイルスの伝播
Transmission of West Nile Virus through Blood Transfusion in the United States in 2002

L.N. Pealer and Others

背景

米国における 2002 年の西ナイルウイルス流行期間に,西ナイルウイルス症が時間的に血液や血液成分の輸血と関連している患者が認められた.

方 法

ウイルス血症の供血者由来の血液成分を輸血してから 4 週間以内であり,最近西ナイルウイルスに感染した検査結果を示す患者は,確実に輸血関連感染であると見なした.これらの血液成分の供血者に面接を行い,献血前あるいは献血後にウイルス性疾患の存在と一致する症状があったかどうかについて質問した.また,献血時から保持されていた血液検体と追跡時に採取した血液検体を西ナイルウイルスについて検査した.

結 果

23 例の患者が,白血球除去赤血球および白血球非除去赤血球,血小板,新鮮凍結血漿の輸血を介して西ナイルウイルスに感染していることが確認された.受血者 23 例のうち,10 例(43%)は移植や癌が原因で免疫不全状態にあり,8 例(35%)は 70 歳以上であった.免疫不全の受血者では,免疫不全状態にない受血者や蚊が媒介した地域内での集団発生における感染者よりも,潜伏期間が長い傾向にあった.献血時にウイルス血症であった証拠のある供血者 16 名が,感染した受血者 23 例と関連していた.これらの供血者のうち,9 名は献血前あるいは献血後にウイルス性の症状があったことを報告し,5 名は無症状であり,2 名は追跡調査ができなかった.発熱,新たな発疹,眼痛は,ウイルス血症のない供血者であることではなく,ウイルス血症を有し,感染に関与したと考えられる供血者であることと独立して関連していた.16 名の供血者は全員,献血時には西ナイルウイルス特異的 IgM 抗体が陰性であった.

結 論

輸血された赤血球,血小板,新鮮凍結血漿は,西ナイルウイルスを伝播することが可能である.核酸増幅法による西ナイルウイルス検査で潜在的な供血者をスクリーニングすれば,このリスクを低減できるかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1236 - 45. )