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October 16, 2003 Vol. 349 No. 16

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全身性エリテマトーデスの臨床的発症前の自己抗体形成
Development of Autoantibodies before the Clinical Onset of Systemic Lupus Erythematosus

A. Machens and Others

背景

全身性エリテマトーデス(SLE)の自然経過については多くのことが明らかにされているが,SLE と診断される前の SLE 自己抗体の形成についてはあまり検討されていない.臨床診断前の自己抗体形成の開始および進行について検討した.

方 法

米国国防総省の血清保管所(Department of Defense Serum Repository)には,米国軍人 500 万人以上からあらかじめ採取された試料,約 3,000 万例が保管されている.SLE と診断された 130 例から診断前に採取された血清試料を,マッチさせた対照から得た試料と共に評価した.

結 果

SLE 患者 130 例中 115 例(88%)で,検査した SLE 自己抗体のうち少なくとも 1 種類が診断前に認められた(最長 9.4 年前,平均 3.3 年前).抗核抗体は患者の 78%(1:120 希釈以上),抗二本鎖 DNA 抗体は 55%,抗 Ro 抗体は 47%,抗 La 抗体は 34%,抗 Sm 抗体は 32%,抗核リボ核蛋白抗体は 26%,抗リン脂質抗体は 18%に認められた.抗核抗体,抗リン脂質抗体,抗 Ro 抗体,抗 La 抗体は,抗 Sm 抗体や抗核リボ核蛋白抗体と比較して早期に認められた(平均して診断の 3.4 年前 対 1.2 年前,P=0.005).抗二本鎖 DNA 抗体は平均して診断の 2.2 年前に形成され,抗核抗体より遅く(P=0.06),抗核リボ核蛋白抗体より早く認められた(P=0.005).多くの患者では,入手可能な最初の血清試料が陽性であった.したがって,抗体検査で最初に陽性となってから診断されるまでの平均時間に関するこれらの測定値は,抗体形成から診断までの時間を実際より短く見積もっている.最初にマッチさせた対照 130 例では,1 つ以上の自己抗体が陽性であったのは 3.8%であった.

結 論

自己抗体は,大抵,SLE と診断される何年も前から存在している.さらに,SLE 患者では,患者がまだ無症候のあいだに予測可能な経過で自己抗体が出現し,SLE 発症前に特定の自己抗体が進行性で蓄積する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1526 - 33. )