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October 23, 2003 Vol. 349 No. 17

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スルホンアミド系抗菌薬と抗菌薬以外のスルホンアミド系製剤の交差反応の欠如
Absence of Cross-Reactivity between Sulfonamide Antibiotics and Sulfonamide Nonantibiotics

B.L. Strom and Others

背景

以前にスルホンアミド系抗菌薬に対してアレルギー反応を示した患者では,抗菌薬以外のスルホンアミド系製剤の安全性は不明である.

方 法

英国の一般診療研究データベースを用いて後ろ向きコホート研究を行い,抗菌薬以外のスルホンアミド系製剤投与後 30 日以内のアレルギー反応のリスクを検討した.以前にスルホンアミド系抗菌薬の投与後に過敏症を示した患者を,過敏症歴のない患者と比較した.また,同様の分析をスルホンアミド系製剤の代りにペニシリンを用いて行い,スルホンアミドの交差反応に特異的なリスクがあるかどうかを検討した.

結 果

スルホンアミド系抗菌薬の投与後にアレルギー反応を示した患者 969 例のうち,96 例(9.9%)が,抗菌薬以外のスルホンアミド系製剤の投与を引き続き受けたあとにアレルギー反応を示した.スルホンアミド系抗菌薬の投与後にアレルギー反応を示さなかった患者 19,257 例のうち,315 例(1.6%)が抗菌薬以外のスルホンアミド系製剤の投与を受けたあとにアレルギー反応を示した(補正オッズ比 2.8;95%信頼区間 2.1~3.7).しかし,アレルギー反応のリスクは,スルホンアミド系抗菌薬に対して以前に過敏症反応を示した患者では,過敏症歴のない患者と比較して,ペニシリン投与後にさらに大きくなった(補正オッズ比 3.9;95%信頼区間 3.5~4.3).さらに,以前スルホンアミド系抗菌薬投与後に過敏症反応を示した患者では,抗菌薬以外のスルホンアミド系製剤の投与を引き続き受けたあとのアレルギー反応のリスクは,ペニシリンの投与を引き続き受けたあとのアレルギー反応のリスクよりも低かった(補正オッズ比 0.7;95%信頼区間 0.5~0.9).さらに,スルホンアミド系抗菌薬に過敏症歴がある患者は,ペニシリンに過敏症歴がある患者よりも,抗菌薬以外のスルホンアミド系製剤の投与を受けたあとのアレルギー反応のリスクは低かった(補正オッズ比 0.6;95%信頼区間 0.5~0.8).

結 論

スルホンアミド系抗菌薬投与後の過敏症と,その後抗菌薬以外のスルホンアミド系製剤の投与を受けたあとに起るアレルギー反応とのあいだには関連性がある.しかし,この関連性は,スルホンアミドを主成分とした製剤の交差反応によるものというよりも,むしろアレルギー反応に対する素因によるものであると考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1628 - 35. )