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July 24, 2003 Vol. 349 No. 4

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前立腺特異抗原測定による前立腺癌スクリーニングに検証バイアスが与える影響
Effect of Verification Bias on Screening for Prostate Cancer by Measurement of Prostate-Specific Antigen

R.S. Punglia, A.V. D'Amico, W.J. Catalona,K.A. Roehl, and K.M. Kuntz

背景

スクリーニング検査の感度と特異度には,疾患の有無が対象者の全例で検証されず,検査結果そのものによってその確認の度合いが異なる場合,バイアスが生じる.検証バイアスで補正後の,前立腺特異抗原(PSA)測定のスクリーニング検査としての特性を評価した.

方 法

1995~2001 年に,男性 6,691 人に前立腺癌に対する PSA に基づくスクリーニングを実施した.その後,これらの男性のうち 705 例(11%)に前立腺癌の生検を実施した.生検を受ける機会が,PSA 検査の結果と観察される他の臨床変数によってのみ決るという仮定のもとで,数理モデルを用いて補正受信者動作特性(ROC)曲線を推定した.

結 果

PSA 検査の ROC 曲線下面積(すなわち,全体的な診断精度)は,検証バイアスで補正すると,非補正解析と比較して有意に増加した(60 歳未満の男性について 0.86 対 0.69,P<0.001;60 歳以上の男性について 0.72 対 0.62,P=0.008).生検を受けるための PSA 値の閾値を 4.1 ng/mL に設定すると,より若齢の男性では 82%の癌が,より高齢の男性では 65%の癌が見逃されると推定される.異常であっても癌を疑わせるものではない直腸指診所見は,検査の全体の特性には影響しない.

結 論

前立腺生検を推奨するに当って,PSA 値の閾値を低くすると,とくにより若齢の男性で PSA 検査の臨床的有用性が向上する可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 335 - 42. )