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July 24, 2003 Vol. 349 No. 4

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大動脈弁狭窄症における後天性フォンビルブランド症候群
Acquired von Willebrand Syndrome in Aortic Stenosis

A. Vincentelli and Others

背景

大動脈弁狭窄症は,後天性 2A 型フォンビルブランド症候群に関連した出血を併発する可能性がある.しかし,大動脈弁狭窄症における止血異常の有病率と,その原因は不明である.

方 法

大動脈弁狭窄症患者の連続症例 50 例を対象とした.患者は出血の既往を診断するための標準化したスクリーニング質問票への記入を行った.重症の大動脈弁狭窄症患者 42 例は,大動脈弁置換術を受けた.ベースライン時と術後 1 日,7 日,6 ヵ月に,ずり応力が高い状態での血小板機能,フォンビルブランド因子コラーゲン結合活性と抗原濃度,そしてフォンビルブランド因子の多量体構造を評価した.

結 果

重症の大動脈弁狭窄症患者の 21%で,皮膚や粘膜に出血がみられた.ずり応力が高い状態での血小板機能の異常,フォンビルブランド因子コラーゲン結合活性の低下,大きなマルチマーの喪失,あるいはこれらの組み合せが重症の大動脈弁狭窄症患者の 67~92%にみられ,弁狭窄症の重症度と有意に関連していた.主な止血異常は,術後 1 日目に完全に治癒したが,6 ヵ月後,とくに患者と人工弁が不適合である場合(有効弁口面積が 0.8 cm2/m2 体表面積以下)に再発傾向がみられた.

結 論

2A 型フォンビルブランド症候群は重症の大動脈弁狭窄症患者でよくみられる.フォンビルブランド因子の異常は,大動脈弁狭窄症の重症度と直接関係しており,患者と人工弁とのあいだに不適合がなければ大動脈弁置換術によって改善される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 343 - 9. )