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July 3, 2003 Vol. 349 No. 1

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抗好中球細胞質自己抗体関連血管炎に対する維持療法に関する無作為化試験
A Randomized Trial of Maintenance Therapy for Vasculitis Associated with Antineutrophil Cytoplasmic Autoantibodies

D. Jayne and Others

背景

原発性の全身性血管炎には,ウェゲナー肉芽腫症や顕微鏡的多発動脈炎があり,通常は好中球細胞質抗原に対する自己抗体と関連している.全身性血管炎患者におけるシクロホスファミドへの曝露は,寛解時にアザチオプリンで代替することで減らすことができるかどうかを検討した.

方 法

新たに全身性血管炎と診断され,血清クレアチニン濃度が 5.7 mg/dL(500 μmol/L)以下の患者について検討した.全患者は最低 3 ヵ月間,シクロホスファミドとプレドニゾロンの経口投与による治療を受けた.寛解後,患者をシクロホスファミド療法の継続(1 日当り 1.5 mg/kg 体重)またはアザチオプリンによる代替レジメン(1 日当り 2 mg/kg 体重)のいずれかに無作為に割付けた.両群でプレドニゾロンの投与を継続し,患者を研究に組み入れてから 18 ヵ月間追跡した.主要エンドポイントは再発であった.

結 果

検討した患者 155 例中 144 例(93%)が寛解に入り,アザチオプリン(71 例)またはシクロホスファミドの継続(73 例)のいずれかに無作為に割付けられた.死亡は 8 例(5%)で,そのうち 7 例ははじめの 3 ヵ月に死亡した.再発は,アザチオプリン群で 11 例(15.5%)に対し,シクロホスファミド群では 10 例であった(13.7%,P=0.65).重篤な有害事象は,寛解導入期に 15 例(10%)に発生し,寛解期のアザチオプリン群では 8 例(11%)に,寛解期のシクロホスファミド群では 7 例(10%,寛解期の群間比較に対する P=0.94)に発生した.再発率は,ウェゲナー肉芽腫症患者よりも顕微鏡的多発動脈炎患者のほうが低かった(P=0.03).

結 論

全身性血管炎の患者において,寛解後にシクロホスファミドを中止し,アザチオプリンで代替しても,再発率は増加しなかった.したがって,シクロホスファミドに曝露する期間を安全に短縮できる可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 36 - 44. )