小児期のワクチン接種と 1 型糖尿病
Childhood Vaccination and Type 1 Diabetes
A. Hviid and Others
小児期のワクチン接種と 1 型糖尿病発症との関連が提唱されている.
1990 年 1 月 1 日~2000 年 12 月 31 日にデンマークで生まれ,ワクチン接種と 1 型糖尿病発症の詳細情報が入手可能なすべての子供から成るコホート集団を対象に,評価を行った.ポアソン回帰モデルを用いて,すべての子供,および 1 型糖尿病の同胞をもつ小児のサブグループにおいて,接種回数に関連する傾向などのワクチン接種状況に基づいた 1 型糖尿病の発生率比を推定した.また,ワクチン接種後 2~4 年目に糖尿病症例が群発するという最近の報告を考慮に入れ,ワクチン接種後 2~4 年目の発生率比を推定した.
4,720,517 人-年の追跡のあいだに,681 例の小児が 1 型糖尿病と診断された.ワクチン未接種の小児に比べ,1 回以上ワクチン接種を受けた小児における 1 型糖尿病の発生率比は,インフルエンザ菌 B 型ワクチンで 0.91(95%信頼区間 0.74~1.12),ジフテリア,破傷風,不活化ポリオウイルスワクチンで 1.02(95%信頼区間 0.75~1.37),ジフテリア,破傷風,無細胞百日咳ワクチン,不活化ポリオウイルスワクチンで 0.96(95%信頼区間 0.71~1.30),全細胞百日咳ワクチンで 1.06(95%信頼区間 0.80~1.40),麻疹,流行性耳下腺炎,風疹ワクチンで 1.14(95%信頼区間 0.90~1.45),経口ポリオウイルスワクチンで 1.08(95%信頼区間 0.74~1.57)であった.遺伝的素因を有する小児(1 型糖尿病の同胞をもつ小児と定義)における 1 型糖尿病の発症とワクチンとの関連は有意ではなかった.また,いずれのワクチン接種においても,接種後 2~4 年に糖尿病症例が群発するという証拠は認められなかった.
これらの結果は,小児期のワクチン接種と 1 型糖尿病のあいだの因果関係を立証するものではない.