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January 15, 2004 Vol. 350 No. 3

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クロピドグレルを用いた前治療後に行う待機的な経皮的冠動脈介入におけるアブシキシマブの臨床試験
A Clinical Trial of Abciximab in Elective Percutaneous Coronary Intervention after Pretreatment with Clopidogrel

A. Kastrati and Others

背景

糖蛋白 IIb/IIIa 阻害薬アブシキシマブが,クロピドグレルを用いた前治療後に待機的な経皮的冠動脈介入を受ける患者において,有益かどうかは明らかではない.

方 法

経皮的冠動脈介入を受けた冠動脈疾患患者 2,159 例を組み入れた.二重盲検法を用いて,1,079 例をアブシキシマブ投与に,1,080 例をプラセボ投与に無作為に割付けた.介入の 2 時間以上前に,患者全員に 600 mg のクロピドグレルを投与した.この試験の主要エンドポイントは,無作為化後 30 日以内の死亡,心筋梗塞,標的血管に対する緊急血行再建の組み合せとした.

結 果

主要エンドポイントの発生率は,アブシキシマブ群で 4%(45 例),プラセボ群で 4%(43 例)であった(相対リスク 1.05;95%信頼区間 0.69~1.59;P=0.82).もっとも多くみられた有害事象は心筋梗塞であり,発生率はアブシキシマブ群で 4%(40 例),プラセボ群で 4%(41 例)であった(P=0.91).重大な出血の合併症は,アブシキシマブ群の患者 12 例(1%)とプラセボ群の患者 8 例(1%)に発生した(P=0.37).重度の血小板減少症は,アブシキシマブ群の患者 10 例(1%)にみられたが,プラセボ群ではみられなかった(P=0.002).

結 論

今回のデータは,クロピドグレルの高用量負荷による前治療後に待機的な経皮的冠動脈介入を受ける低~中リスクの患者において,アブシキシマブは,最初の 30 日以内では臨床的に測定しうる利益と関連しないことを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 232 - 8. )