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January 15, 2004 Vol. 350 No. 3

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脳嚢虫症によるてんかん発作の発生率減少を目的とした抗寄生虫薬治療に関する試験
A Trial of Antiparasitic Treatment to Reduce the Rate of Seizures Due to Cerebral Cysticercosis

H.H. Garcia and Others

背景

神経嚢虫症は,開発途上国における成人てんかん発作の主因である.適切な対照試験がほとんど行われていないことから,抗寄生虫薬を用いた治療によりてんかん発作のコントロールに改善がもたらされるのかどうかについては疑問がもたれている.

方 法

二重盲検プラセボ対照試験において,生きた嚢虫が脳内におり,発作に対して抗てんかん薬による治療を受けている患者 120 例を,10 日間のアルベンダゾール 800 mg/日+デキサメタゾン 6 mg/日投与(60 例),あるいは 2 種類のプラセボ投与(60 例)に無作為に割付けた.30 ヵ月間,あるいは抗てんかん薬の用量を漸減したあと 6 ヵ月間てんかん発作が起らなくなるまで患者を追跡調査した.治療の有効性は,治療後の発作回数の減少として評価した.

結 果

アルベンダゾール群では,治療後 2~30 ヵ月のあいだに発作回数が 46%減少した(95%信頼区間 -74~83%).この減少は統計学的に有意ではなく,有意ではない部分発作回数の 41%の減少(95%信頼区間 -124~84%)と有意な全般発作回数の 67%の減少(95%信頼区間 20~86%)から成っていた.部分発作回数における差異の大部分は,追跡期間中にてんかん発作を多く起した少数の患者に起因するものであった.追跡期間中に部分発作のあった患者の割合は 2 群間でほぼ同程度であったが(アルベンダゾール群では 57 例中 19 例,プラセボ群では 59 例中 16 例),プラセボ群の患者は全般発作を起す傾向がより強かった(59 例中 22 例,これに対しアルベンダゾール群では 57 例中 13 例;リスク比 1.63;95%信頼区間 0.91~2.92).アルベンダゾール群では,消失した頭蓋内の嚢胞性病変がプラセボ群に比べ多かった.唯一の例外であった腹痛を除き,2 群間で副作用に有意差はなかった.

結 論

脳実質内の生きた嚢胞によるてんかん発作患者において,抗寄生虫薬は,寄生虫数を減らし,少なくとも全般発作回数を減少させる点においては安全かつ有効である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 249 - 58. )