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February 26, 2004 Vol. 350 No. 9

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瘻孔を伴うクローン病に対するインフリキシマブ維持療法
Infliximab Maintenance Therapy for Fistulizing Crohn's Disease

B.E. Sands and Others

背景

インフリキシマブは,腫瘍壊死因子に対するモノクローナル抗体であり,瘻孔を伴わないクローン病患者に対する有効な維持療法である.インフリキシマブが,瘻孔を伴う患者に対して有効な維持療法かどうかは不明である.

方 法

インフリキシマブを用いた維持療法の有効性を評価する目的で,最低 3 ヵ月間,腹部または肛門周囲に排液性瘻孔が 1 ヵ所以上認められたクローン病の成人患者 306 例を対象に,多施設共同二重盲検無作為プラセボ対照試験を行った.試験開始時,2 週目,6 週目に,患者に 5 mg/kg 体重のインフリキシマブを静脈内投与した.10 週目と 14 週目に反応を示した患者計 195 例と,反応を示さなかった患者 87 例を,引き続きプラセボまたは 5 mg/kg 体重のインフリキシマブのいずれかを 8 週ごとに投与する群に無作為に割付け,54 週目まで追跡した.主要解析は,14 週目に反応を示し,無作為化された患者の反応喪失までの時間とした.

結 果

反応喪失までの時間は,インフリキシマブで維持療法を受けた患者のほうがプラセボで維持療法を受けた患者よりも有意に長かった(40 週以上 対 14 週,P<0.001).54 週目に排液性瘻孔がまったくみられなかったのは,プラセボ維持療法群の患者では 19%であったのに対し,インフリキシマブ維持療法群の患者では 36%であった(P=0.009).

結 論

インフリキシマブを用いた導入療法に反応を示す,瘻孔を伴うクローン病患者では,8 週ごとにインフリキシマブ療法を続けると,54 週間にわたって反応を維持できる可能性が高くなる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 876 - 85. )