重症双胎間輸血症候群に対する内視鏡下レーザー治療と連続的羊水除去の比較
Endoscopic Laser Surgery versus Serial Amnioreduction for Severe Twin-to-Twin Transfusion Syndrome
M.-V. Senat and Others
妊娠中期に重症双胎間輸血症候群を合併した一絨毛膜性双胎妊娠は,連続的羊水除去(羊水の大量除去)か,絨毛膜板上の吻合血管の選択的胎児鏡下レーザー凝固法で治療することができる.この 2 種類の治療法の有効性と安全性を比較するために,無作為試験を実施した.
妊娠 26 週未満で重症双胎間輸血症候群の妊婦を,レーザー治療または羊水除去に無作為に割付けた.周産期に少なくとも一方の胎児が生存しているか(事前に規定した主要転帰),月齢 6 ヵ月の時点で少なくとも一方の胎児が生存しているか,月齢 6 ヵ月の時点で神経学的合併症のない状態で生存しているかを,必要に応じ妊娠数または胎児数・乳児数に基づいて評価した.
計画されていた中間解析でレーザー治療群に大きな利益があることが示されたため,試験を早期に終了した.その時点で 72 例がレーザー治療群,70 例が羊水除去群に割付けられていた.羊水除去群と比較して,レーザー治療群では少なくとも一方の胎児が日齢 28 日まで生存している確率(76% 対 56%;両胎児死亡の相対リスク 0.63;95%信頼区間 0.25~0.93;P=0.009),ならびに月齢 6 ヵ月まで生存している確率(P=0.002)が高かった.またレーザー治療群の乳児のほうが,嚢胞性脳室周囲白質軟化症の発生率が低く(6% 対 14%,P=0.02),月齢 6 ヵ月の時点で神経学的合併症のない割合も高かった(52% 対 31%,P=0.003).
妊娠 26 週未満に診断された重症双胎間輸血症候群に対する第一選択の治療法としては,連続的羊水除去よりも,吻合血管の内視鏡下レーザー凝固のほうが効果が高い.