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July 15, 2004 Vol. 351 No. 3

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タイにおける HIV-1 母子感染予防を目的としたネビラピンの周産期単回投与と標準的なジドブジン投与の併用
Single-Dose Perinatal Nevirapine plus Standard Zidovudine to Prevent Mother-to-Child Transmission of HIV-1 in Thailand

M. Lallemant and Others

背景

ジドブジンの予防投与によって,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1 型の伝播率は大幅に減少するが,感染する乳児は依然として多い.われわれは,ジドブジンに加えて,ネビラピンを分娩時の母親と新生児に単回経口投与することで,HIV の伝播はさらに減少するという仮説を立てた.

方 法

妊娠第 3 三半期にジドブジンの投与を受けていたタイ人女性を対象に,3 種類の治療レジメンに関する無作為二重盲検試験を行った.対象者を,母子ともにネビラピンを単回投与する群(ネビラピン–ネビラピンレジメン);母親にネビラピン,乳児にプラセボを投与する群(ネビラピン–プラセボレジメン);母子ともにプラセボを投与する群(プラセボ–プラセボレジメン)に割り付けた.また,乳児には 1 週間のジドブジン投与を行い,粉ミルクを与えた.試験のエンドポイントは乳児の HIV 感染とし,ウイルス検査で確認した.

結 果

2001 年 1 月 15 日~2003 年 2 月 28 日のあいだに,計 1,844 例のタイ人女性を組み入れた.初回の中間解析において,独立データモニタリング委員会は,プラセボ–プラセボ群への組入れを中止した.中間解析以前に出産した女性では,無作為割付けに基づく伝播率の Kaplan–Meier 推定値は,ネビラピン–ネビラピン群で 1.1%(95%信頼区間 0.3~2.2),プラセボ–プラセボ群で 6.3%(95%信頼区間 3.8~8.9)であった(P<0.001).プロトコール遵守に基づく最終的な伝播率は,ネビラピン–ネビラピン群で 1.9%(95%信頼区間 0.9~3.0)で,これはネビラピン–プラセボ群の伝播率(2.8%;95%信頼区間 1.5~4.1)に比べ有意に低いということはなかった.ネビラピンは,ウイルス負荷量や CD4 細胞数など既知の危険因子によって定義されたサブグループ内において有効であった.ネビラピンの使用に関連する重篤な有害作用はみられなかった.

結 論

妊娠 28 週目に開始する経口ジドブジンを用いた予防療法に加え,母親にネビラピンを単回投与することで,乳児へのネビラピン投与の有無にかかわらず,HIV の母子感染を減少させるのに大きな効果が得られる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 217 - 28. )