全身性エリテマトーデスにおけるマンノース結合レクチン変異対立遺伝子と動脈血栓症のリスク
Mannose-Binding Lectin Variant Alleles and the Risk of Arterial Thrombosis in Systemic Lupus Erythematosus
T. Øhlenschlaeger and Others
心血管疾患は,全身性エリテマトーデス(SLE)患者の重大な合併症である.マンノース結合レクチン遺伝子における対立遺伝子の変異は,SLE だけでなく重症アテローム性動脈硬化症にも関連している.マンノース結合レクチンの変異対立遺伝子が,SLE 患者における動脈血栓症のリスクの増大と関連しているかどうかを検討した.
デンマーク人の SLE 患者 91 例において,マンノース結合レクチン対立遺伝子の遺伝子型をポリメラーゼ連鎖反応法で決定した.SLE 診断後に発生する動脈血栓症と静脈血栓症を,前向き研究で評価した.動脈血栓症と静脈血栓症は適切な診断法により確認した.
患者 54 例はマンノース結合レクチン対立遺伝子の変異がなく(遺伝子型 A/A),30 例はヘテロ接合性(遺伝子型 A/O),7 例がホモ接合性(遺伝子型 O/O)であった.中央値 9.1 年の追跡期間中,動脈血栓症(脳梗塞,心筋梗塞,または下肢の塞栓症)が発生したのは,遺伝子型 O/O の患者 7 例中 6 例であったのに対し,他の 2 種類の遺伝子型では 84 例中 18 例であった(ハザード比 5.8;95%信頼区間 2.2~15.2;総発生率 26%).他の既知の危険因子で補正後,ハザード比は 7.0(95%信頼区間 1.9~25.4)となった.静脈血栓症は 14 例で発生したが,マンノース結合レクチンの遺伝子型とは統計学的に関係がみられなかった.
SLE 患者において,マンノース結合レクチン変異対立遺伝子のホモ接合性は,動脈血栓症のリスクの増大と関連している.一方,静脈血栓症のリスクは増加しないことから,マンノース結合レクチンには動脈血栓症を予防する特異的な役割があることが示される.