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August 26, 2004 Vol. 351 No. 9

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慢性リンパ性白血病における疾患進行の予測因子としての ZAP-70 と免疫グロブリン重鎖遺伝子の突然変異の比較
ZAP-70 Compared with Immunoglobulin Heavy-Chain Gene Mutation Status as a Predictor of Disease Progression in Chronic Lymphocytic Leukemia

L.Z. Rassenti and Others

背景

慢性リンパ性白血病(CLL)のたどる経過はさまざまである.疾患が進行性の場合,CLL 細胞は通常,変異のない免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子(IgVH)と 70-kD ゼータ関連蛋白(ZAP-70)を発現する.一方,疾患が無症候性の場合,CLL 細胞は通常,変異のある IgVH を発現するが,ZAP-70 は発現しない.

方 法

CLL 患者 307 例から採取した CLL B 細胞を用いて,ZAP-70 と,再構成した IgVH 遺伝子の変異を評価した.続いて,その結果と,診断から最初の治療までの期間との関係を調査した.

結 果

変異のない IgVH 遺伝子を有する患者では,164 例中 117 例(71%)で ZAP-70 が規定の上限を超えて発現していたが,変異のある IgVH 遺伝子を有する患者では,発現していたのは 143 例中わずか 24 例(17%)のみであった(P<0.001).ZAP-70 陽性 CLL 細胞を有する患者の中で,診断から最初の治療までの期間の中央値について,変異のない IgVH 遺伝子を有する患者(2.8 年)と変異のある IgVH 遺伝子を有する患者(4.2 年)で有意差はなかった(P=0.07).しかし,これらの群の診断から最初の治療までの期間の中央値は,IgVH 遺伝子の変異の有無にかかわらず,それぞれ ZAP-70 陰性の CLL 細胞を有する患者よりも有意に短かった(P<0.001).ZAP-70 をもたない患者の診断から最初の治療までの期間の中央値は,変異のある IgVH 遺伝子を有する患者で 11.0 年,変異のない IgVH 遺伝子を有する患者で 7.1 年であった(P<0.001).

結 論

変異のない IgVH 遺伝子の存在は ZAP-70 の発現と強く関連しているが,ZAP-70 は, B 細胞性 CLL の治療の必要性を示すより強力な予測因子である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 893 - 901. )