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April 28, 2005 Vol. 352 No. 17

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高齢者と高リスクの成人における RS ウイルス感染
Respiratory Syncytial Virus Infection in Elderly and High-Risk Adults

A.R. Falsey and Others

背景

RS ウイルス(RSV)は,成人の疾患の原因の 1 つとして次第に認識されるようになってきている.地域社会に居住する高齢者と高リスクの成人を対象とした疫学および臨床的影響に関するデータが,ワクチン開発の必要性を評価するうえで役立つ可能性がある.

方 法

連続する 4 年間の冬季に,健常な高齢患者(65 歳以上)および高リスクの成人(慢性心疾患または慢性肺疾患を有する成人)から成る前向きコホートと,急性の心肺系疾患により入院した患者において,呼吸器疾患全例を評価した.RSV 感染と A 型インフルエンザについて,培養,RT-PCR 法,血清学的検査に基づいて診断した.

結 果

健常な高齢者計 608 例および高リスクの成人 540 例を前向き調査に組み入れ,入院患者は 1,388 例組み入れた.計 2,514 件の疾患を評価した.RSV 感染は,前向きコホート 102 例と入院患者 142 例で確認され,A 型インフルエンザは,前向きコホート 44 例と入院患者 154 例で診断された.RSV 感染は,毎年,健常な高齢者の 3~7%,高リスク成人の 4~10%で発生した.健常な高齢者が RSV 感染で外来を受診する頻度は,インフルエンザ感染よりも少なかった.しかし,高リスク成人が医療サービスを利用する頻度は,2 つの感染で同程度であった.入院患者のコホートにおける RSV 感染と A 型インフルエンザについて,入院期間,集中治療の利用率(それぞれ 15%と 12%),死亡率(8%と 7%)は同程度であった.退院時の『国際疾病分類第 9 版,臨床修正版(International Classification of Diseases, 9th Revision, Clinical Modification)』による診断コードに基づくと,RSV 感染は,肺炎による入院の 10.6%,慢性閉塞性肺疾患による入院の 11.4%,うっ血性心不全による入院の 5.4%,喘息による入院の 7.2%でみられた.

結 論

RSV 感染は,高齢者や高リスク成人における重要な疾患であり,その疾病負荷は,インフルエンザワクチンの接種率の高い集団においては,非流行性 A 型インフルエンザと同程度である.効果的な RSV ワクチンにより,これらの成人が利益を受ける可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 1749 - 59. )