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June 2, 2005 Vol. 352 No. 22

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II 型コラーゲン遺伝子変異体と遺伝性大腿骨頭壊死症
Type II Collagen Gene Variants and Inherited Osteonecrosis of the Femoral Head

Y.-F. Liu and Others

背景

大腿骨頭壊死症(ANFH)は,しばしば外科手術を必要とする障害の原因となる.ほとんどの ANFH 症例は散発性であるが,われわれは,この疾患で常染色体優性遺伝を示す 3 家系を同定し,その責任遺伝子を染色体 12q13 上にマッピングした.

方 法

これらの家系でハプロタイプ解析を行い,12q13 上の ANFH に関する重要な区間から候補遺伝子を選択した.また,遺伝性 ANFH 患者および散発性 ANFH 患者から得られた II 型コラーゲン遺伝子(COL2A1)のプロモーター領域およびエクソン領域の塩基配列を決定した.

結 果

4 世代の家系の中で ANFH に罹患している患者において,COL2A1 のエクソン 50 で G→A 置換を同定した.この置換は,II 型コラーゲンの GXY リピート内に存在するコドン 1170 のグリシンからセリンへの置換を意味する.別の家系でも同一の置換を有することが示されたが,対立遺伝子の突然変異は異なるハプロタイプ上で起っていた.第 3 の家系では,コドン 717 のグリシンからセリンへの置換を引き起す,エクソン 33 における G→A 置換が同定された.ANFH の散発例では,COL2A1 のコード領域に突然変異は認められなかった.

結 論

対象とした家族性 ANFH 患者は,全員が COL2A1 突然変異を有していた.ANFH 家系では,COL2A1 遺伝子のハプロタイプ解析と塩基配列解析を行うことで,臨床症状が発現する前に突然変異対立遺伝子のキャリアを同定することができる.そうすることで,疾患の進行を遅らせるための処置を開始することが可能となる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 2294 - 301. )