The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 20, 2005 Vol. 352 No. 3

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

正常核型の急性骨髄性白血病における細胞質ヌクレオフォスミン
Cytoplasmic Nucleophosmin in Acute Myelogenous Leukemia with a Normal Karyotype

B. Falini and Others

背景

ヌクレオフォスミン(nucleophosmin; NPM)は,核・細胞質間をシャトルする蛋白質で,核小体に顕著に局在し,ARF-p53 腫瘍抑制経路を制御する.NPM 遺伝子が関与する転座により,NPM 蛋白の細胞質転移が引き起される.

方 法

初発の急性骨髄性白血病(AML)患者 591 例から採取した骨髄生検標本において,NPM の細胞内局在を免疫組織化学法で調べた.同時に,細胞質 NPM の存在と疾患の臨床的特徴および生物学的特徴との関連を調べた.

結 果

細胞質 NPM は,初発 AML 患者から採取した標本 591 例中 208 例(35.2%)で検出されたが,再発 AML の標本 135 例または AML 以外の造血系腫瘍や非造血系腫瘍の標本 980 例では検出されなかった.細胞質 NPM の存在は,形態学的に分類されるさまざまな白血病の亜型,正常核型,導入化学療法への反応性と関連したが,再発に関連する遺伝的異常には関連しなかった.正常核型で NPM の細胞質転移がみられた AML 標本では,FLT3 の internal tandem duplication(ITD)や CD34・CD133 の欠損が高頻度にみられたが,NPM が核に局在する標本にはみられなかった.細胞質に NPM を有する AML 標本では,NPM 遺伝子の変異がみられ,この変異から NPM 蛋白の C 末端変異が予測された.すなわち,この変異遺伝子を形質移入(トランスフェクト)した細胞で,NPM の細胞質局在がみられたことになる.

結 論

細胞質 NPM は,正常核型で,NPM 遺伝子に変異があり,導入化学療法に反応する AML 患者の大きなサブグループがもつ特徴である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 254 - 66. )