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January 27, 2005 Vol. 352 No. 4

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血管危険因子と糖尿病性神経障害
Vascular Risk Factors and Diabetic Neuropathy

S. Tesfaye and Others

背景

糖尿病性神経障害を治療する方法は,血糖コントロール以外にない.したがって,神経障害の危険因子の中から,修正可能な因子を同定することがきわめて重要である.われわれは,欧州糖尿病(EURODIAB)前向き合併症研究に参加している 31 施設の 1 型糖尿病患者 1,172 例を対象に,遠位対称性神経障害の発生の危険因子について検討を行った.

方 法

神経障害の有無を,ベースライン時(1989~91 年)と平均(±SD)7.3±0.6 年の追跡調査時(1997~99 年)に評価した.標準化プロトコールに基づき,臨床評価,定量的感覚検査,自律神経機能検査を実施した.血清脂質およびリポ蛋白,グリコシル化ヘモグロビン,尿中アルブミン排泄率は,中央検査室で測定した.

結 果

ベースライン時に神経障害が認められなかった患者 1,172 例のうち,追跡時に 276 例で神経障害が発生していた(23.5%).神経障害の累積発生率は,グリコシル化ヘモグロビン値や糖尿病の罹患期間と関連していた.これらの因子について補正後,総コレステロールと低比重リポ蛋白コレステロールの高値,トリグリセリドの高値,体格指数の高値,フォン・ウィルブランド因子と尿中アルブミン排泄率の高値,高血圧,喫煙のすべてが,神経障害の累積発生率と有意に関連していた.他の危険因子と糖尿病性合併症について補正後も,糖尿病の罹患期間,現在のグリコシル化ヘモグロビン値,追跡期間中のグリコシル化ヘモグロビン値の変化,体格指数,喫煙は,依然として神経障害の発生率と独立して関連していた.ベースライン時の心血管疾患は,心血管危険因子とは独立して,神経障害の 2 倍のリスクと関連していた.

結 論

この前向き研究から,神経障害の発生率は,血糖コントロール以外に,トリグリセリド値の上昇,体格指数,喫煙,高血圧といった,修正可能な心血管危険因子と関連していることが示される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 341 - 50. )